写真●三菱UFJフィナンシャル・グループ デジタルイノベーション推進部の藤井達人シニアアナリスト
写真●三菱UFJフィナンシャル・グループ デジタルイノベーション推進部の藤井達人シニアアナリスト
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 2016年8月25日に日経BPが開催した「Enterprise Development Conference 2016」に、三菱UFJフィナンシャル・グループ デジタルイノベーション推進部の藤井達人シニアアナリストが登壇した(写真)。藤井シニアアナリストは、「FinTechとAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)は切り離せるものではない」と語り、APIを介した外部開発者とのコラボレーションが、新しい金融サービスを生み出す上で重要な鍵を握るとの見解を示した。

 藤井氏は、「これぞFintech!『銀行API』を使うと、こんなことができる」というタイトルで講演した。FinTechというと、金融機関とスタートアップ企業とが競合関係にあると思われがちだが、「私はそうは思わない」と藤井氏は語る。FinTechスタートアップ企業は既存金融機関のビジネスを侵食しているのではなく、テクノロジーによって新しい市場を創出している、というスタンスだ。

 実際、金融機関とFinTechスタートアップ企業との協業は増えている。特に力を入れている邦銀の一つが、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)だ。2016年には、4カ月間にわたってスタートアップ企業の事業化を集中的に支援するプログラム「MUFG Fintech アクセラレータ」を実施。同年8月には「Demo Day」を開催し、複数のスタートアップ企業との協業を発表している。

 中でも注目される取り組みが、口座照会や振り込みといった銀行機能を提供する“銀行API”をテーマに開催したハッカソンだ。「外部プレイヤーと共創するためのツールとして、銀行APIは欠かせないという認識が広がっている。弾みをつける意味でも、ずっとハッカソンを開催したいと思っていた」と、藤井氏は振り返る。

 藤井氏によると、銀行APIを巡る取り組みは3~4年前に欧米で始まったという。米シティグループはハッカソンイベント「Citi Mobile Challenge」で試験用APIを提供しており、仏クレディ・アグリコルは銀行APIを活用して開発したアプリストアを運営している。英国では政府主導で、銀行APIの仕様策定が進む。