興味をもった事件、私の場合は、もちろんサイバー・インシデントを調べようとして、各種記事や論文を読んでいると、それらは細かい点で矛盾している場合がある。

(提供=123RF)
(提供=123RF)

 同じ事件に対するものでも、もちろん見る者によって理解や感想は異なるわけであるが、事実部分でさえ、細部においては齟齬を来たすことがある。これを鵜呑みにすると、自分も間違ったことを書いてしまうことになる。

 これを避けたいときには、大変手間ではあるが、できるだけ多くの記事を読むしかない。そして、それら記事から矛盾する項目をはじいていくのである。相反する項目は双方記載しないか、裏の取れた記載のほうを残して、他方を削除する。

 この作業で役立つのが記事の一覧表を作ることだ。以下に掲載した表は、私がナスダックのハッキング事件を追うときに作成したものの一部である。

表●ナスダック・ハック関連記事一覧(一部)
表●ナスダック・ハック関連記事一覧(一部)
(出所=著者作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 項目としては左から「既読・未読の別」、「読む必要性があるかどうかの判断」、「発表時期(年月)」、「メディア(掲載紙、号)」、「メディア国籍」、「筆者、及び情報源(人物、または主に参考としている別記事があればそれ)」、「概要(タイトルもここに記載し、可能であれば本文全文も)」、「記事の存在を何から知ったか」、「アクセス日」を記載している。

 こうして全体を眺めると、どのような知見がどの記事で最初に言及されているのか、その根拠は何かもはっきりさせることができる。