強い企業とは、継続的にビジネスモデル変革や業務プロセス変革を実現できる企業のことだ。しかし、個別最適化された情報システムが、これを妨げることが珍しくない。
柔軟なシステムアーキテクチャーを実現するための基本的な考え方を、なじみ深い都市の構造に見立てて学んでいこう。今回は、データ連係基盤の重要性を、大阪の都市計画から考える。
「データ項目を追加する」、「データの選択値を一つ追加する」。こうした一見軽微に思えるシステム改修であっても、多くの時間が掛かるという課題を抱える情報システム部門は少なくないのではないか。
今回取り上げる製造業のA社も、同様の悩みを抱えていた。原因となっていたのは、情報システム間の複雑な連携だ(図1)。受注や在庫管理、会計、決算といった業務プロセスごとに情報システムを用意しており、データを受け渡していく仕組みにしていた。そのため、一つの情報システムを改修する場合、直接接続する隣のシステムだけでなく、さらに別のシステムにまで影響範囲が及ぶ可能性がある。
A社の場合、そもそもシステム間の連携パスが複雑になってしまったのは、情報システムごとに担当者が異なっていたからだ。各担当者は、別々のITベンダーと個別に連携機能を作り込んでしまっていた。このため、担当者との調整だけでも時間が掛かる(図2)。
こうした状況を、いかに解消すべきか。ヒントは、大阪市の中心部を南北に縦断する「御堂筋」にある。