「2014年4月、FinTechが銀行業務を切り崩すという記事がFinancial Times紙に掲載され、多くの銀行家や関係者が危機感を持った」──。2016年8月3日、都内で開催された「FinTech Impact Tokyo 2016」(主催:日経FinTech、CIO(IDG Group))で、金融庁 総務企画局 企画課 信用制度参事官室 企画官の神田潤一氏が講演、金融庁がFinTechに取り組むきっかけは、2年ほど前の国内外の金融動向からだと明かした。

金融庁 総務企画局 企画課 信用制度参事官室 企画官 神田潤一氏
金融庁 総務企画局 企画課 信用制度参事官室 企画官 神田潤一氏
(撮影:中尾 真二)
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 当時は、アリババの顔パスによる決済システム、AIによる融資条件の判定といった金融にかかわるIT技術の台頭も話題になった。このほか、「ネットモールの運営事業者がモール出店者に融資を行ったり、米国SIMPLE社のように銀行と提携して手数料無料のATMや送金業務など、いわゆる銀行のアンバンドリングも金融審議会で指摘されるなど、波紋があった」(神田氏)。

決済をめぐる構造的変化
決済をめぐる構造的変化
(撮影:中尾 真二)
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管轄外のサービスがテクノロジー(FinTech)によって融資、決済を可能にしている
管轄外のサービスがテクノロジー(FinTech)によって融資、決済を可能にしている
(撮影:中尾 真二)
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 加えて、足元ではクラウドファンディングや、ビットコインなどの新テクノロジーによる金融サービスといった変化も起こっている。これらは従来の金融行政では規制の範囲外となる。