「テクノロジーがもたらす未来に期待している」。米Boxのアーロン・レヴィCEO(最高経営責任者)は、こう断言する。技術の可能性を信じて疑わない「楽観主義」は、シリコンバレーの起業家に共通するマインドだ。見通すのが難しい未来に対しても、シンプルなソフトを追求する姿勢をぶらさないと話す。


テクノロジー・オプティミストを自認するレヴィ氏
テクノロジー・オプティミストを自認するレヴィ氏
(写真:陶山 勉)
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 私は未来のテクノロジーに対して、とても期待しています。テクノロジー・オプティミスト?確かに、そう言えるでしょう。

 AIなどソフトの進化に関して、私と全く逆の見方があるのは理解しています。ソフトウエアがインテリジェントになると、人間の仕事を取って代わるのではないか。人間を支配するのではないか。

 こうした見方があるのは事実でしょう。ただ、そのような見方もある意味では楽観的と言えるのではないでしょうか。なぜ、楽観的でないと言えるのでしょう。

 面倒な作業を肩代わりしてもらって人間はもっと生産的な仕事に注力できるようになると考えれば楽観的と言える。しかし実際には、仕事そのものが奪われると考えてしまうからではないか。

 道具はすべからく人間の仕事を肩代わりするために生み出されたものであり、コンピュータも例外ではない。それでも、将来コンピュータに置き換えられる可能性の高い職種が議論されるなど、根強い懸念がある。

 現在は、自分が楽しくない作業、自身の能力を発揮しきれない作業、でもやらなければならない作業について、そのタスクに時間をかけないといけない人が非常に多いと感じています。

 これはそうした作業の自動化ができていないからではないでしょうか。自動化が進むことで仕事がなくなると懸念する人はいるでしょうが、そもそも自動化すべき仕事そのものが、従事する人々にとって満足できる仕事と言えるのかどうか。

 現在は非効率的な作業でもそれを効率的、自動的にこなす技術が未成熟だから、人間がしぶしぶやらざるを得ない状況になっている人が多すぎます。人間がやる必要のない仕事を解消できれば、よりレベルの高い仕事、人間しかできない仕事に従事するという、あるべき姿に近づけるはずです。