企業向けクラウドストレージとしての地歩を築きつつある米Box(ボックス)。創業者のアーロン・レヴィCEO(最高経営責任者)は「企業向けソフトは人間の作業を邪魔することのない、裏方としての存在になる」と語る。理想像の実現に向けて、人工知能(AI)やセキュリティの研究開発に力を注ぐ。


「ソフトウエアの将来を信じている」と語るレヴィ氏
「ソフトウエアの将来を信じている」と語るレヴィ氏
(写真:陶山 勉)
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 ソフトウエアは、よりいっそう「裏方化」していくと考えています。本当に優れたソフトは、使っていることを利用者に意識すらさせず、人間の作業をごく自然にアシストしてくれるべきです。

 将来の企業向けソフトは、製品も技術もよりインテリジェントになっていくでしょう。例えば人工知能(AI)や機械学習が進化して、利用者の負担を技術が軽減してくれるようになるはずです。

 その結果、利用者が技術やソフトそのものに対して考える時間が減っていき、空いた時間を使って自分たちがやりたいことを達成できるようになります。

 現状は正反対ですね。ソフトや技術に対して、目的の仕事を達成するために利用者が指示を出しています。みんな、この状態が当たり前だと思っています。

 理想の姿はこうではありません。テクノロジー自体が仕事をこなしてくれるべきです。それでこそ働き方が改革でき、生産性の向上につながります。

AIにも投資、企業向けへの注力は数カ月悩んだ

 理想像の実現に向けて、レヴィ氏は人工知能(AI)への研究開発投資を始めたばかりだと明かした。現在の顧客の最優先事項であるセキュリティや快適な使い勝手の改良を進めつつ、目線は将来を見据える。

 AIへの研究開発投資に着手しています。まだ始めたばかりですが、必要な領域だと考えています。

 目下のところ、Boxが注力しているのはスケーラビリティとセキュリティです。1社で実に5億件のファイルを格納しているケースがあります。しかもこの数は増え続けている。スケーラビリティが課題になるのは明白です。全データをBoxに搭載している企業も、たくさんあります。あるいはレガシーのシステムからBoxのクラウドへ、情報共有システムを移行するための支援も重要な分野です。

 これらを、すべてセキュリティを保ったまま実行できなければなりません。やるべきことは山積しています。