最近、話題のキーワードである「FinTech(フィンテック)」。金融(Finance)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語であることをご存じの方は多いだろう。

 インターネットの誕生によって、情報共有が簡単、かつリアルタイムになり、さまざまな産業で構造変化が起こった。そして、変化が遅いと言われてきた金融サービスも、ついに大きく変革するタイミングが今、到来している。この時代の胎動こそが、FinTechと呼ばれる新たな動きだ。従来の金融サービスでITを活用するにとどまらず、スタートアップ企業が次々に生まれ、ユーザーにとっての使いやすさを第一とする新たなサービスを生み出し、金融サービスの概念そのものを変えつつある。

 しかし、FinTechにはどのような分野が含まれ、どういったサービスが生まれてきているのか。そして、そのメリットは何なのか。具体的には今一つピンと来ないという声も聞く。

 例えば、最近ITproに掲載されたFinTech分野の記事には、次のようなものがある。


・「エムティーアイ、口座番号の代わりに携帯番号で送金できるサービスを開発
・「SAPジャパン、ブロックチェーンでカナダとドイツ間の即時送金に成功した事例を発表
・「FinTechの法整備が第二局面へ、金融庁が『中間的業者』の法的枠組みを検討開始
・「ベネフィット・ワンとお金のデザイン、市場拡大見込まれる個人型確定拠出年金で協業


 記事からキーワードを拾うと、「送金サービス」「ブロックチェーン」「個人資産管理(PFM)」「銀行API」「ロボアドバイザー」などが挙げられる。これらすべてが「FinTech」として、一括りに語られているのだ。

分野が多岐にわたるFinTechの全体像をつかむ

写真1●『FinTech入門』(辻庸介、瀧俊雄著)
写真1●『FinTech入門』(辻庸介、瀧俊雄著)
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 このように、FinTechに含まれる分野は多岐にわたるため、個々のニュースを読んでいるだけでは、全体像がなかなか見えてこない。何とか手っ取り早く全体像と本質をつかめないものか――。そんなときにピッタリなのが、書籍『FinTech入門』である(写真1)。本書では、FinTechサービスにはどのようなものがあるかを整理し、それぞれの代表的なプレーヤーを紹介。加えて、FinTechを支える技術と背景から、ユーザーにとってのメリット、既存の金融機関の動き、未来の金融サービスの予測までが網羅されている。

 FinTechを取り巻く環境は動きが非常に速いが、本書でFinTechに関する「土台」を作っておけば、今後も続々と報じられるであろうFinTech関連ニュースの意味と位置づけを、容易に理解できるようになるはずだ。