「最近、“ボードゲーム”という言葉を見聞きすることが増えてきたけど、ひょっとしてはやっている?」というあたりの話を、5月の大型連休のときに「ITproなのにこの記事大丈夫?」とこっそり掲載した「ハマる人急増でカフェ&バーも開店、盛り上がる“完全アナログ”ボードゲーム」で紹介した。

 「ボードゲームって何が面白いの?」という、たぶん多くの人が知りたいだろう疑問に「目の前にいる人間を相手にものとして存在する駒をゲーム盤の上で動かす楽しみ」と思いっきり主観的に答えてしまったが、今やいい歳をした大人がダイスを転がしたりカードを出しあったり駒を動かしあったりしながらボードゲームを遊んでいることや、堂々と遊べる場所としてボードゲームカフェやバーが多数登場している客観的事実も伝えている。

 しかし、「今度の休み、久しぶりにみんなで集まるからボードゲームやってみたいのだがなあ」と思い立ってはみたものの、その先に進めないことが意外と多いと聞く。初めて、もしくは経験が浅い人には「だって、ボードゲーム難しそうだし、ルール覚えておかないと失礼かもしれないし、上手にできないと迷惑かけそうだし」というあたりがハードルになるそうだ。

 情報を集めようとしてベテランボードゲーマーのブログやSNSの投稿にたどりついて、「うまくなろうとする気が見えないのが嫌です」(私がとあるボードゲーム系SNSで実際に読んだことのある文章ママ)なんて書き込みを読んでしまっていたら「もうなんか軽はずみな私ですみません」とやる気を失ってしまうのも無理はない。

 娯楽なのだから気楽に遊べばいい。とはいえ、やはりルールが分からないことには遊びようがないし、勝つための駆け引きやコツを知っていると、ゲームが面白くなる。ただ、それをイチから自分だけで覚えるにはそれなりの時間と労力が掛かる。

ルールはベテランさんに教えてもらえばOK

 そういうとき、ボードゲームのルールやテクニックを教えてくれるゲームマスターがいると、ボードゲーム初体験でもすぐに面白く遊ぶことができる。PCやスマートフォン、専用機で遊ぶデジタルゲームが気軽にすぐ楽しめるのも、プレーヤーはルールを知らなくてもゲーム側が管理してくれるからだ。ボードゲームでもゲームマスターにルールを管理してもらいテクニックを教えてもらえば、プレーヤーはデジタルゲームと同じようにすぐゲームを楽しむことができる。

 そんな優秀なゲームマスターにレクチャーしてもらえる場が、最近数が増えているボードゲームを楽しむカフェやバーだ。どうも、行ったことのない人々は「ゲームカフェやゲームバーはマニアックなマスターとマニアックなボードゲーマーが黙々と強い酒を浴びるように飲みながら死力を尽くしてダイスを振り続けている恐ろしい戦場」とイメージしているらしい。

 しかし、実際にはそんなことは一切ない。マスターたちは「知らない人にボードゲームを知ってもらいたい、遊んでもらいたい、好きになってもらいたい」と店を立ち上げているので総じて初心者に優しい。

 店に行って、人数と経験と興味(ワイワイ盛り上がる、とか、じっくり考えたい、とか)を伝えると、マスターがお薦めのゲームを選んでルールや勝ち方をレクチャーしてくれる。お店が所有しているいろんなゲームを体験してみて、「これは面白い」と思ったものを購入するのが、最も手軽で最も確実な「ボードゲーム入門」になる。

ボードゲームをプレーできるバー「ゲームバー グリュック」(http://barglueck.com/)。東京・千代田区にある。オーナーの千代達也氏は「普通の人にもっとボードゲームを知ってほしい」と思い立って大手ボードゲーム流通会社を辞めてを立ち上げた。訪れる利用客のうち未経験者は2割。それでも開店前の予想を超えていると千代氏は語る
ボードゲームをプレーできるバー「ゲームバー グリュック」(http://barglueck.com/)。東京・千代田区にある。オーナーの千代達也氏は「普通の人にもっとボードゲームを知ってほしい」と思い立って大手ボードゲーム流通会社を辞めてを立ち上げた。訪れる利用客のうち未経験者は2割。それでも開店前の予想を超えていると千代氏は語る
(撮影:安積 薫、以下同じ)
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