128ビット長のIPアドレスを持ち、事実上無制限にグローバルIPアドレスの割り振りが可能な「IPv6」(IPバージョン6)。IPv4(IPバージョン4)からIPv6への移行問題は、IPv4アドレスの枯渇問題とともに語られてきた。
IPv6は、まだIPv4アドレスが潤沢にあった1998年に仕様が確定された(図1-1)。そのころから、将来膨大な端末がインターネットに接続し、IPv4アドレスが枯渇すると見通されていたわけだ。実際、2011年にはIANA/APNIC▼のIPv4アドレスプールが枯渇し、新規割り振りは終了している▼。
とはいえ、現在のインターネットはほとんどがIPv4で動いており、すぐにIPv6に切り替わるわけではない。だが、モバイル端末やIoT▼機器の急増が見込まれる今、ネットワーク管理者にとって、将来の“IPv6時代”について理解しておくことは大事だ。第1回の今回はIPv6の現状を整理する。第2回ではIPv6の仕組みを、第3回でIPv6への移行の課題を解説していく。
IANAはInternet Assigned Numbers Authorityの略で国際アドレス管理団体。APNICはAsia-Pacific Network Information Centreの略で日本を含むアジア太平洋地域の地域別IPアドレス管理団体。
現在は、既存のIPv4アドレスの業者間移転や、ブロック単位での事実上の売買が行われている。売買については、IPアドレスに金銭的な価値を付与してよいのか、というポリシー上の問題などから当初は問題視されていた。
Internet of Thingsの略。「モノのインターネット」とも呼ばれる。