2016年11月21日から11月25日に公表された市場動向についてレポートする。IDC Japan「2016年第3四半期 国内クライアントPC市場実績値を発表」、ノークリサーチ「2016年秋の中堅・中小企業のIT投資指標」、野村総合研究所「2022年度までのICT・メディア市場の規模とトレンドを展望」を取り上げる。

 IDC Japanは2016年11月24日、国内のクライアントPC市場に関する調査結果を発表した。2016年第3四半期(7~9月)の出荷台数は前年同期比6.3%増の252万台で、2014年第2四半期(4~6月)以来、およそ2年ぶりに前年同期比でプラスに転じた。

 252万台の内訳は、ビジネス向けが同10.0%増の161万台、家庭向けが同0.2%増の91万台だった。ビジネス向け家庭向けどちらも減少傾向にようやく歯止めがかかった。

 今期はビジネス向けでは大型案件が増加し、Windows 7プリインストールPCの特需があったため、二桁成長につながった。家庭向けでは、家電量販店向けの出荷は少なかったが、出荷チャネルの多様化で他のチャネルが補完したという。市場全体ではデル日本法人や富士通、ASUS JAPANの出荷台数の伸びが目立った。

 ベンダー別シェアでは、NECレノボ・ジャパングループがシェア25.4%でトップ。2位は富士通で19.0%、3位は日本HPで12.4%だった。日本HPは3位に返り咲いたものの、4位のデル日本法人との差はわずか0.3ポイント。上位5社では富士通、デル日本法人、日本HPがビジネス向けと家庭向けの両市場で前年同期を上回った。

2016年第3四半期 国内クライアントPC出荷台数 トップ5ベンダーシェア、対前年同期成長率(実績値)
2016年第3四半期 国内クライアントPC出荷台数 トップ5ベンダーシェア、対前年同期成長率(実績値)
(出所:IDC Japan)
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 ベンダー別動向では、NECレノボ・ジャパングループがビジネス向けで前年同期比6.9%増となったものの、家庭向けで同28.4%減となり、全体では同8.4%減だった。

 富士通はビジネス向けで同21.2%増、家庭向けでも同10.1%増、全体で同18.3%増だった。日本HPはビジネス向けで同16.4%増、家庭向けで同4.1%増、全体で同14.8%増だった。

 デル日本法人はビジネス向けで同21.8%増、家庭向けで同104.7%の大幅増を記録。家電量販店向け出荷が順調に伸びたという。全体では同39.5%増だった。

 東芝はビジネス向けで同3.5%減、家庭向けで同5.7%減。全体では同4.5%減だった。

 IDC Japanは「家庭市場では、Windows XPサポート終了に伴う需要が終息した後、長らくマイナス成長が続いていたが、ここにきて前年同期比でフラットとなった。これを本格的な復調の兆しとみるかどうかの判断は慎重にしたい」とコメント。年末年始商戦の結果が出るまで判断を待ちたい考えだ。

 一方、ビジネス市場では、XPサポート終了時に購入されたPCの買い替えが徐々に開始される時期が到来。「今後成長フェーズへと突入する可能性が高い」と見ている。

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