2016年10月11日から10月14日に公表された市場動向についてレポートする。IDC Japan「2016年第2四半期 国内サーバー市場動向を発表」、ノークリサーチ「2016年中堅・中小企業におけるERP活用の実態と今後のニーズに関する調査」、一般社団法人JPCERTコーディネーションセンター(JPCERT/CC)「JPCERT/CC インシデント報告対応レポート[2016年7月1日~2016年9月30日]」を取り上げる。

 IDC Japanは2016年10月11日、国内のサーバー市場に関する調査結果を発表した。2016年第2四半期(4~6月)の市場規模は前年同期比20.0%の大幅減となる974億円に落ち込んだ。出荷台数も同10.0%減の11万2000台。2016年第1四半期(1~3月)に続き、出荷額・出荷台数ともに前年同期を下回った。

 出荷額の減少は大型案件が一巡した反動と、x86サーバーの低迷によるものと同社は指摘する。特に前年同期は銀行向けメインフレームやHPC(ハイ・パフォーマンス・コンピューティング)専用機など大型案件があったが、今期はこうした大型案件が無かったという。

 x86サーバーは出荷額で同11.4%減の687億円、出荷台数で同10.0%減の11万1000台と低迷が続いた。出荷額が前年同期比で10%以上減ったのは2009年第3四半期(7~9月)以来、27四半期ぶりという。

 IDC Japanは出荷台数の減少に加え、サーバーの平均単価の下落が出荷額減少に響いたと分析している。平均単価はここ10年来で初めて、第1四半期から10%以上下がったという。  同社は急激な平均単価下落の主な要因を、ユーザー企業がODM(他社ブランドの設計・生産を行う企業)から直接サーバーを調達するODM Directなど、平均単価の低い個別設計サーバーの出荷台数比率が上昇したためと分析する。

 前年同期に比べて、個別設計サーバーの出荷台数は5.8%増加したものの、個別設計サーバーを除いたx86サーバーの出荷台数は12.6%減少。個別設計サーバーの出荷台数がx86サーバー市場に占める割合は過去最大の16.6%に高まったという。

 同社の加藤慎也エンタープライズインフラストラクチャマーケットアナリストは「個別設計サーバーを除いた出荷台数は9四半期連続で前年同期比を下回っている」とコメント。出荷台数が減少する中で売上高を維持するには「高付加価値製品の開発に加えて、より積極的なオプションの追加など平均単価の上昇につながる取り組みが求められる」と指摘している。

 ベンダー別のシェアも公表した。1位は前期に続き富士通でシェアは22.6%だった。2位はNEC(同18.5%)で3位は日本ヒューレット・パッカード(同13.0%)。以下、日本IBM(同12.1%)、日立製作所(9.8%)、デル(5.8%)と続いた。

2016年第2四半期 国内サーバー市場ベンダーシェア(出荷額)
2016年第2四半期 国内サーバー市場ベンダーシェア(出荷額)
(出所:IDC Japan)
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