2016年7月19日と20日に公表された市場動向についてレポートする。IDC Japan「国内金融機関における第3のプラットフォーム支出動向および「FinTech」関連IT支出予測」、ノークリサーチ「2016年中堅・中小企業におけるオンラインストレージサービス活用の動向予測」、矢野経済研究所「シェアリングエコノミー(共有経済)市場に関する調査」を取り上げる。

 銀行・保険・証券など金融サービス分野においてもクラウドやモバイルの活用が進展している。IDC Japanは2016年7月19日、クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術といった「第3のプラットフォーム」への国内の金融分野における市場予測を発表した。

 IDC Japanは、金融分野における第3のプラットフォームへの支出は、2016年に8852億円に達すると予測した。前年比13.3%増の高い成長が期待されるという。その背景として、大手金融機関に加えて地方銀行でも第3のプラットフォームの積極的な採用が進んでいることがあるとする。

 多くの金融機関ですでに、営業店舗でのスマートフォンやタブレット端末の活用、営業職員の業務支援のためのモバイル活用が進んでいるが、ここにきて「クラウドの採用も幅広い業態で進展している」という。各金融機関において収益拡大を目的に、ビッグデータと認知(コグニティブ)システムの本格的な活用が検討され、2020年まで第3のプラットフォーム向け支出は堅調に拡大していくとIDC Japanは予測する。

 一方、「FinTech」を活用したサービス強化に乗り出す動きもある。国内金融機関のFinTech関連支出が2016年には56億円に達し、今後ブロックチェーン向けの支出を中心にさらに拡大。2020年には2015年の約10倍の318億円に達するという。

IDC Japanの発表資料へ

国内金融機関「FinTech」関連IT支出額予測、2015年~2020年
[画像のクリックで拡大表示]
国内金融機関「FinTech」関連IT支出額予測、2015年~2020年
(出所:IDC Japan)