2017年4月24日から5月2日に公表された市場動向についてレポートする。MM総研「人工知能技術のビジネス活用概況」、富士キメラ総研「『2017 クラウドコンピューティングの現状と将来展望』まとまる」、IDC Japan「2017年 国内企業の情報セキュリティ対策実態調査結果を発表」を取り上げる。

 MM総研は2017年4月25日、日本とドイツ、米国における人工知能(AI)技術のビジネス活用に関する調査結果を発表した。日本企業がAIをビジネスに導入している割合は1.8%で、導入検討中が17.9%だった。

 日本市場の業種別導入率では、金融業(7.8%)と情報通信業(6.9%)が先行。以下、製造業が2.5%、運輸業が1.7%、医療・介護分野が1.0%と続いた。

 AIの国内市場規模は2016年度が前年度比約2倍の2220億円。今後、年平均20.4%で成長し、2021年には5610億円に達するとの予測で、米独市場と比べて高い成長率を維持するという。MM総研は国内市場成長のポイントとして「利用者側のAIの技術理解向上」と「環境整備」、「豊富なデータを生かせる人材と業界ノウハウ」の確保を挙げる。

 AIのビジネス導入率についてドイツ、米国も調べた。ドイツは導入済が4.9%、導入検討中が22.4%で、米国は導入済1が3.3%、導入検討中が32.9%だった。いずれも日本よりも高い数値となった。

導入状況比較(3カ国)
導入状況比較(3カ国)
(出所:MM総研)
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 市場規模はドイツが2016年度に3260億円で、今後は年率10.3%で成長。2021年度には5330億円に達するとした。米国市場は2016年度が3兆9340億円。今後は年率14.9%で成長し、2021年度には7兆8360億円にまで成長すると予測している。

 AIに投資する企業のうち、「マネジメント層がAIの技術やサービスを詳しく知っている割合」について、日本とドイツ、米国で調べたところ、日本では7.7%だが、ドイツは30.9%、米国は49.8%と差が開いた。日本では9割以上の導入企業でマネジメント層が技術を理解しないままAIに投資している状況が浮き彫りになった。

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