2017年月4月17日から4月24日に公表された市場動向についてレポートする。PwC Japan「PwC Japan、『第20回世界CEO意識調査 日本分析版』を発表」、矢野経済研究所「危機管理(事業継続/防災/情報セキュリティ)ソリューション市場に関する調査を実施(2017年) 」、ガートナー ジャパン「ガートナー、企業が保有するデータとストレージについての調査結果を発表 自社保有のストレージにのみ注力するのではなく、外部のクラウドも含めたデータの管理に目を向けるべき」を取り上げる。

 PwC Japanグループは2017年4月19日、日本企業のCEO(最高経営責任者)110人を対象とした意識調査の結果を発表した。2017年1月にPwCが世界の企業を対象に実施した調査から、日本企業のCEOの回答に絞り、日本企業が置かれている状況や今後の課題について考察したもの。

 日本企業のCEOに、自社の成長の短期的な見通しについて聞いたところ、「非常に自信がある」との回答は2016年の28%から14%に半減した。世界のCEOは38%だった。中期的な見通しに対する強い自信も33%から21%に大幅低下。PwC Japanグループでは、世界各国のCEOの意識と比較しても日本のCEOの見通しについての「慎重な姿勢」は際立っているとした。

今後12カ月の自社の売上の成長見通しについて「非常に地震がある」と回答した割合の推移
今後12カ月の自社の売上の成長見通しについて「非常に地震がある」と回答した割合の推移
(出所:PwC Japanグループ)
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 自社の成長にとって最も重要な国を尋ねると、日本のCEOの回答は米国と中国に集中。米国という回答は前年比6ポイント増の61%、中国との回答は同13ポイント増の58%に達した。一方、アジアの新興国に対する関心は低下。顕著な例では、タイが2016年の28%から17%に低下した。

 CEOが今後、最も強化すべきと考える分野は「イノベーション」という回答が世界のCEOでは23%、日本のCEOでは32%に達し、いずれも最多だった。ただし、2位以下では、世界のCEOと日本のCEOで意識の差が明らかになった。世界のCEOは「デジタルおよびテクノロジーに関する能力」が15%、「人材」が15%で同率で2位となったものの、日本では「人材」が30%、「競争上の優位性」が17%と続いた。

 「デジタルおよびテクノロジーに関する能力」は日本では4%にとどまり、地域別でも最低水準という。PwC Japanグループは日本のCEOのデジタルに関するスキル、テクノロジーの使用経験に対する回答が他地域のCEOに比べて圧倒的に低い結果となったと指摘。新しいテクノロジーに関する個人的な使用経験がないことが、日本のCEOがデジタルやテクノロジーを最優先課題と考えない要因の一つと分析している。

 また、人工知能(AI)やロボティクスの進展、機械化による雇用への影響を踏まえ、CEOに対して、今後12カ月における人員規模について聞いたところ、規模の縮小を見込んでいる日本のCEOは7%に過ぎなかった。一方で4割程度が人員規模の拡大を見込んでいることが明らかになった。

 今回の調査では日本のCEOが、自社の信頼を揺るがすリスクに対して高い意識を持っていることも明らかになった。今後5年間において、ステークホルダーとの信頼感にマイナスの影響を与える要素について聞いたところ、世界のCEOの55%が「プライバシーの保護や倫理に反する行為」と回答。続いては「サイバーセキュリティ上の欠陥」が53%、「ITシステムの機能停止や混乱」が47%だった。

 PwC Japanグループは日本のCEOが上記と同じ要素に「相当な影響がある」と回答した割合は突出していると指摘。信頼を揺るがすリスクに対する意識は世界最高レベルであると分析した。

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