2017年2月20日から2月24日に公表された市場動向についてレポートする。IDC Japan「国内IoT市場 ユースケース(用途)別/産業分野別予測を発表」、ノークリサーチ「中堅・中小企業のIT投資に影響を与えるビジネス環境の変化」、矢野経済研究所「ERP/業務ソフトウェアの導入実態アンケート調査を実施(2016年)」を取り上げる。

 IDC Japanは2017年2月20日、国内のIoT(インターネット・オブ・シングズ)市場に関する調査結果を発表した。IoTに関するユーザー支出額は2016年に5兆270億円に達する見込みという。2016~2021年までの年間平均成長率は17.0%で、2021年には2016年比約2.2倍の11兆237億円にまで拡大すると予測した。

国内IoT市場 支出額予測、2016年~2021年
国内IoT市場 支出額予測、2016年~2021年
(2016年は見込み値、2017年~2021年は予測値。折れ線は各年における前年比の成長率を表す。出所:IDC Japan)
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 IoT市場の動向をユースケース別で分析すると、2016~2021年の年間平均市場成長率が25%超の高い成長が期待できるのは、農業フィールド監視や小売店舗内個別リコメンデーション、院内クリニカルケア、スマートグリッド、テレマティクス保険、ホームオートメーション、スマートアプライアンスなどとした。

 2016年時点でIoT市場の多くを占めるのは製造業、運輸/運輸サービス、官公庁、公共/公益の分野で、こうした産業分野では以前から様々な組み込み系の機器/インフラに対してIT関連支出が盛んだった。IDC Japanは、既に導入・活用している機器やインフラの運用効率向上や、機器/インフラを通じたエンドユーザー満足度向上などを実現するうえでも、IoTの活用が不可欠になりつつあると指摘している。

 国内IoT市場の力強い成長の背景には、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた景況感の上向き、IoTを利用する上での技術障壁/コスト障壁の低下、IoTを取り巻く法規制や支援策の変化が影響しているとした。一方、2020年以降もベンダーがIoTビジネスで継続的な成長を続けるためには、顕在化する社会課題に対応すべく、新たなユースケースの立ち上げに向けて、産業分野の開拓や新興企業との提携を進めることが必要になると指摘している。

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