2017年2月6日から2月10日に公表された市場動向についてレポートする。アクセンチュア「アクセンチュア最新調査――スマートフォン、今年は消費者需要に回復の兆し」、IDC Japan「国内パブリッククラウド接続用途WANサービス市場予測を発表」、矢野経済研究所「国内FinTech(フィンテック)市場に関する調査を実施(2016年)~積極的な銀行APIの公開に加え、革新的な取組みを支援する法環境の整備がカギ~」を取り上げる。

 アクセンチュアは2017年2月9日、世界26カ国2万6000人の消費者を対象に実施した、スマートフォンの世界市場に関する調査結果を発表した。2016年に過去3年間で最低水準にまで落ち込んだスマートフォンに対する消費者需要は2017年に回復に転じると予測した。セキュリティの強化や新機能の追加、パフォーマンスの向上、買い替えサイクルなどの要因が支えるという。

 購買意欲では「今後12カ月間以内にスマートフォンの購入を検討している」と回答した消費者が前年比6ポイント上昇の54%に達した。市場を最も引っ張るのは中国の消費者であると分析している。

今後12カ月間以内にスマートフォンの購入を検討している比率
今後12カ月間以内にスマートフォンの購入を検討している比率
(出所:アクセンチュア)
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 中国では消費者の74%がスマートフォンの購入に意欲を示し、その比率は昨年の61%から13ポイント上昇。インドも昨年の68%から11ポイント上昇して79%に、米国でも昨年の38%から14ポイント上昇の52%に達するなど、主要な市場で軒並み前年比2ケタの伸びを示した。

 消費者のスマートフォン需要を促進している要因を調べたところ、「革新的な新機能の搭載」が昨年比10ポイント上昇の51%に、「現在使用中のスマートフォンのパフォーマンス不足」が同12%上昇の45%となった。

 アクセンチュアは音声アシスタントなどの人工知能(AI)を活用したサービスが受け入れられつつあることも市場の回復を後押ししていると分析。今回の調査では新たに「Amazon Echo」や「Google Home」といった音声アシスタント端末の購買意欲についても調査した。

 現在、音声アシスタント端末を所有する回答者はわずか4%だったものの、所有者の65%がデバイスを頻繁に利用していると回答。新技術の受け入れが進んでいると分析した。

 特に若い世代の消費者では、14~17歳の回答者の84%が「現在音声アシスタントを利用している、もしくは利用してみたい」と回答。消費者はAIを利用した各種のパーソナライズドサービスの受け入れに前向きであり、回答者の60%が「パーソナル健康支援」、59%が「旅行支援」、51%が「エンターテイメント向けアドバイザー」といったサービスに関心があると回答した。

 スマートフォンやクラウド上に保管されることの多い個人データの保護について、多くの消費者が不安を感じていることも明らかになった。回答者の87%が、オンラインショッピングなどに伴う金銭取引におけるセキュリティに不安を覚えると回答。同様に、特定の企業や組織が許可なく自分の金融情報にアクセスすることに対しては、89%の回答者が懸念を示した。

 アクセンチュアはスマートフォンの市場は回復基調にあるものの、その傾向が全てのコネクテッドデバイスに該当するわけではないと指摘。ウェアラブルなフィットネストラッカーやスマートウォッチを購入すると答えた消費者はわずか14%で、前年の13%からほぼ横ばいだった。

 ただし、「来年中にインターネット接続型の防犯カメラを購入する」という回答は10%にとどまったものの「5年以内に購入する」との回答は半数近くの46%に達し、「来年中にウェアラブルなフィットネストラッカーを購入する」という回答は12%であったのに対し、「5年以内に購入を検討している」との回答は44%だった。

 家庭用のスマートサーモスタット(自動温度調節器)に関しても、「来年中の購入」はわずか8%であったのに対し、「5年以内の購入」は42%に達したという。コネクテッドデバイスの価格が割高なこと、個人データの盗用や侵害に対する消費者の不安があるが、これらの障壁が取り除かれれば、市場の需要はすぐに加速に転じると分析している。

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