2017年1月30日から2月3日に公表された市場動向についてレポートする。IDC Japanの「~FinTech活用に向けたIT支出が急拡大~ 国内金融IT市場予測を発表」、情報処理推進機構「『情報セキュリティ10大脅威 2017』を決定~個人と組織でIoT機器の脅威が初めてランクイン~」、アイ・ティ・アールの「2015年度のSaaS型統合型マーケティング支援市場は前年度比83.3%増に ITRが統合型マーケティング支援市場規模推移および予測を発表」を取り上げる。

 IDC Japanは2017年2月1日、国内の金融IT市場に関する調査結果を発表した。2017年の市場規模は前年比1.1%増の2兆517億円との予測だ。国内経済は堅調に推移しているものの、2016年にあった大型案件が減少した反動が見込まれるため微増にとどまるという。業態別では、メガバンクのIT支出が同2.2%増、カード会社が同2.7%増、ネット証券会社が同2.5%増と、比較的高い成長率で拡大すると分析した。

国内金融機関「FinTech」関連IT支出額予測、産業分野別、2015年~2020年
国内金融機関「FinTech」関連IT支出額予測、産業分野別、2015年~2020年
(出所:IDC Japan)
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 2017年のFinTech関連IT支出は110億円に達し、2020年には338億円に拡大すると予測。特に広範囲のシステムでの活用が見込まれる「ブロックチェーン」、企業への柔軟な資金提供を可能にする「ソーシャルレンディング/トランザクションレンディング/クラウドファンディング」のIT支出が拡大するという。

 調査に当たり同社は、FinTechの活用が見込まれる分野を八つに分類している。具体的には「個人資産管理」「金融情報/投資支援」「テレマティクス保険など」「会計/経営情報」、「ソーシャルレンディング/トランザクションレンディング/クラウドファンディング」「決済」「暗号通貨」「ブロックチェーン」――である。その上で、各分野でFinTech関連サービスを提供・活用するためにスタートアップ企業など外部企業と連携したり、自社でシステムを開発・運用するためのIT支出額を「FinTech関連IT支出」と定義している。

 既存サービスを強化したり、新しいビジネスモデルを構築したりするために、FinTechを採用する国内金融機関が増加していると分析。現時点では、検証段階にとどまっている金融機関が多いものの、一部ではスタートアップ企業などと連携してFinTech関連サービスを提供するケースも増え、2017年以降には本格的に増加が見込まれるとした。

 金融機関とスタートアップ企業との連携もより緊密になるが、金融機関においてはスタートアップ企業との間のセキュリティ面などの懸念が依然として存在していると指摘。システム連携やデータ連携の阻害要因ともなっているという。

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