表計算ソフト「Microsoft Excel」が備えるピボットテーブルは、大量のデータを多様な角度から集計するための機能だ。そもそも「ピボット(pivot)」は「回転軸」「~に回転軸を設ける」などの意味を持つ。大量のデータに対して、任意の分析の軸(ピボット)を設けて表(テーブル)を作れるのがピボットテーブルの特徴であり、この名の由来でもある。

 売上データや定量調査によるアンケートデータは、生のままだと無味乾燥な数字の羅列であって、そこから意味を読み取るのはほぼ不可能だ。ところが、この数字の羅列にピボットテーブルを適用することで、見えなかった意外な傾向が見えてくる。

 ビッグデータの時代にはデータ分析に関するリテラシーが必須になる。となると、ピボットテーブルに関するリテラシーは、ビッグデータ時代に不可欠だと言ってよい。

まずはピボットテーブルのスゴサを実感

 ピボットテーブルのスゴサを実感するには、単純なピボットテーブルを作成してみるのがよい。最初に表形式のシンプルなデータベースを用意する。これはExcelの1行が1件のデータ(レコード)に対応し、列は1件のレコードを構成する個々の要素から成るものだ。

 中途半端に集計したデータはピボットテーブルの元データとしてふさわしくない。そもそも集計するのがピボットテーブルの役目だからだ。ここでは電子書籍の売り上げを一覧にした「書籍売上データ」を用意した。これを基にして今回は「Excel 2016」を使ってピボットテーブルを実際に作ってみる。

 まず、「書籍売上データ」の任意のセルをクリックし、「挿入」タブの「ピボットテーブル」ボタンをクリックする。「ピボットテーブルの作成」ダイアログボックスが現れたら、「テーブルまたは範囲を選択」の「テーブル/範囲」ボックスに、適切なデータ範囲が表示されているか確認しよう(図1)。

図1●「挿入」タブ→「ピボットテーブル」ボタンを押したら、ダイアログでデータの範囲を確認する
図1●「挿入」タブ→「ピボットテーブル」ボタンを押したら、ダイアログでデータの範囲を確認する
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 そうしたら、「新規ワークシート」にチェックが入っていることを確認して「OK」をクリックする。すると、「書籍売上データ」シートとは別に、新規のワークシートが挿入されて、「ピボットテーブルのフィールド」作業ウインドウが現れる。このウインドウは任意の「軸」を自在に設定したテーブルを作成するためのものだ。ピボットテーブル以外のセルをクリックすると、この作業ウィドウは消えてしまう。

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