旅程の自由な個人の訪日客は、買い物の仕方も自由である。1回目の調査結果(関連記事)を受けて、訪日中国人観光客に実施した街頭インタビューでは、団体客と個人客の購買パターンの違いがより深くみえてきた。店舗で買う物を決める個人客の心をつかむため、店頭の接客や販促の重要性がより高まっていくと言えそうだ。

 2回目の調査は、2016年6月6日および7日に実施した。調査対象者は中国本土からの訪日観光客に限定し、団体ツアー客二人、個人客二人の計四人に対して、東京・秋葉原およびお台場で30分程度の定性インタビューを行った。

 インタビューのはじめに、大半の中国人訪日観光客が準備しているといわれる買い物リストを見せてもらい、購買対象をどの程度まで絞り込んでいるのかを確認した。図1に団体ツアー客および個人客それぞれ一人の買い物リストの作成状況を整理している。

図1●団体ツアー客、個人客別の買い物リスト作成状況
図1●団体ツアー客、個人客別の買い物リスト作成状況
(出所:GMOリサーチ、以下同)
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 団体ツアー客の事例は、今回初訪日となる20代女性である。「買い物リスト」を常に確認できるようにスマートフォン内にまとめて持ち歩き、買い物が進むにつれて「買った」ことを示す追記をしていた。この旅行者は化粧品中心の自分の買い物に加え、親戚や友人からの依頼など、訪日時の買い物をこのリスト一つで管理しており、商品、個数、買い物の依頼者などがコンパクトに確認できるようにしていた。いわゆる「買い物リスト」というものだろう。

 特に親戚や友人から依頼された買い物は、商品名単位で受けることが多く、『指名買い』になるのが普通と言える。

 これに対して、今回調査した個人客はまとまった「買い物リスト」を作っていなかった。個人客の事例は広東省から訪れた20代のカップルで、女性は初訪日、男性は2回目の訪日である。買い物に関してはカップルの女性がほとんどすべてを管理していたため、彼女に「買い物リスト」の作成状況を尋ねた。

 親戚や友人から依頼されたものに関しては、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)から送られてきた画像や、ECサイトのURLをブックマークしているだけで、団体ツアー客の事例に見られたような「買い物リスト」は作成していない。