アサヒビール、ニッカウヰスキー、アサヒ飲料など、酒類・食品系の企業を多く抱えるアサヒグループは、2011年に持株会社制に移行した。このころの課題の一つが、各社に不効率に分散していたITリソースを集約することだった。それまで、グループ各社ごとに生産管理、販売物流、会計といった業務システムをメインフレーム中心に構築・運用していたため、グループ全体で同種のシステムが重複していた。

 そこで同社は、2010年~2015年の第4次・第5次中期経営計画において、グループ内のシステムを刷新・統合し、グループ共通のシステム基盤を構築する「3Gプロジェクト」を進めてきた。3Gとは「Group」「Global」「Green」という三つのキーワードのことで、グループ全体のIT環境を最適化することでグローバルでの競争力を高め、かつ環境にも配慮するという狙いを示している。

写真1●3Gプロジェクトを担当した、アサヒプロマネジメント業務システム部の北浦靖司副部長
写真1●3Gプロジェクトを担当した、アサヒプロマネジメント業務システム部の北浦靖司副部長
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システム基盤とアプリケーションを順次統合

 3Gプロジェクトでは、まず2010~2012年に、グループ共通のシステム基盤(プライベートクラウド)を構築し、売上明細などのトランザクションデータや、商品や取引先などのマスターデータを事業セグメントごとに統合した。また、メインフレームに代わるシステム基盤として、ハード一体型データベース「Oracle Exadata Database Machine」を導入している。それ以前は、グループ会社間でデータを連携しておらず、手作業でマスターデータに書き込むなどの手間があった。統一後は、グループ会社の売り上げや生産状況が横串で見られるようになり、アサヒビールの製品の一部をアサヒ飲料の工場で生産するといったグループ間連携もスムーズになった。