Windows 10は、Windows 7/8/8.1からのアップグレードが可能とされているが、Windows 7/8/8.1が動作していれば、必ずWindows 10が動作するわけではない。アップグレードは可能でも、ハードウエアが動作条件(マイクロソフトはこれをシステム要件と呼ぶ)を満たさなければWindows 10はインストールできない。

 簡易には、Windows Updateで配布されている「GWX」(Get Windows 10。Xはローマ数字の10)が動作条件の判定を行うため、アップグレード可能かどうかの判定にはあまり悩まずに済む。ここでは、Windows 10の動作条件などを確認していこう。

ドライバーがなければアップグレードできない

 表1は、Windows 7からのWindowsのシステム要件をまとめたものだ。これをみると、メモリーやストレージの空き容量、GPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)、CPU動作周波数の条件は、Windows 7からほとんど変わっていない。

表1●Windowsの動作要件
Windows
10 TH2
Windows
8.1
Windows
8
Windows
7
システム要件URLリンクリンクリンクリンク
メモリー2Gバイト
(1Gバイト)
空き容量20Gバイト
(16Gバイト)
グラフィックスDirectX 9
(WDDM 1.0)
ディスプレイ800×600ドット以上1024×768ドット以上
(ストアアプリ)
1024×768ドット以上
(ストアアプリ)
800×600ドット以上
プロセッサ
動作周波数
1GHz以上
プロセッサ機能PAE、
NX/XDビット、
SSE2(32/64ビット版)、
CMPXCHG16b、
PrefetchW、
LAHF/SAHF(64ビット版のみ)
PAE、
NX/XDビット、
SSE2

 ただし、最低画面解像度は、Windows 8/8.1で1024×768ドットに変更になっている。これは、ストアアプリを動作させるための条件だ。ストアアプリを動かさないのであれば、800×600ドットでも強制的にインストールを行うことは可能だった。なお、Windows 10では、ストアアプリをウインドウ内で動作させられるようになったため、800×600ドットでもストアアプリは使える。

 実際にはこうした要件以外に、ドライバーが利用できるかどうかなどで、インストール可能かを判定している。例えば、前述のGWXでは、かつてWindows 8タブレットで使われていたAtom Z2760(開発コード名はClover Trail)を搭載したPCに対してもアップグレードを勧めてくる。しかし、インテルからドライバーが提供されておらず、CloverTrailを搭載したPCはWindows 10へアップグレードできない。

 システム要件のうち、Windows 7世代が引っかかりやすいのは、CPUの必要命令だろう。Windows 8から「PAE」(フィジカル・アドレス・エクステンション、物理アドレス拡張)、「NX/XDビット」(実行制御ビット。NXはAMD、XDはインテルの呼称)、「SSE2」への対応が必要になった。Windows 10でもこれは同様だ。