Windows 10を含めWindowsは全てライセンス認証を行ったあと正式版となる。それ以前の状態では、「試用版」状態となっており、一定期間内しか利用できず、期限を過ぎたあとは、制限がかかるようになっている。

 Windows 10の無償アップグレードでは、ライセンス認証の新しい方式が導入されるなど、変更もあった。ここでは、Windowsのライセンス認証について整理してみる。

ライセンス認証は主に4パターン

 Windowsのライセンス認証は、大きく4種類ある。

  1. プロダクトキーとアクティベーションによる認証
  2. SLP情報による認証
  3. ボリュームライセンスキー(Volume License Key)による認証
  4. デジタル登録情報(デジタルライセンス)による認証

 1.のプロダクトキーを使う方式は、いわゆる普通のWindowsのパッケージやDSP版で使われている方式。PCメーカーは、DSP版などを利用することで、少量のWindowsならば、この方式でプリインストール販売が可能だ。この方式の特徴は、インターネットを使って入力されたプロダクトキーやハードウエアハッシュキーを確認した上で認証を完了させる「アクティベーション」が行なわれる点だ。

 2.は、主にPCメーカーが利用する方法だ。ファームウエア(BIOSやUEFI)にSLP(システム・ロック・プリインストール)情報を格納し、プリインストールされたWindowsが初回の起動時(これをOOBE、アウト・オブ・ボックス・エクスペリエンスという)に自動的に認証する。この方式では、アクティベーションが不要で、プリインストールマシンは起動後すぐに認証状態となる。

 この方式のメリットは、ユーザーが再インストールする場合にプロダクトキーなどの管理が不要な点と、メーカーが配布する再インストールイメージを他のPCに流用されても、ライセンス認証が完了しないため、メーカーがインストールイメージの管理を厳重にする必要がない点にある。SLPによる認証が可能になってから、インストールイメージなどをインターネットからダウンロードすることが従来よりも容易になり、以前のようにディスクを郵送するなどといったやり方は不要になった。

 3.は、マイクロソフトとボリュームライセンス契約を結んだ組織が利用する方法だ。原則としてEnterpriseエディションのWindowsが対象になる。こちらは、Windows XP以前のアクティベーションのないライセンス認証で、ボリュームライセンスキー(VLK)を入力しただけでライセンス認証が完了する。組織が管理しているライセンスなどはマイクロソフトが提供するツールで管理できるため、キー流出などで不正使用されたり、同一VLKで複数のPCをライセンス認証することはできない。

 4.は、Windows 10のアップグレードで初めて導入された方法だ。Windows 7/8からアップグレードするとき、前バージョンのWindowsがライセンス認証されていれば、自動的にWindows 10のライセンス認証が行われる。なお、Windows 10 バージョン1511(TH2)からは、旧バージョンのプロダクトキーを使ってのアクティベーションも可能になった(画面1)。

画面1●Windows 10のインストールメディアからPCを起動した場合、アップグレード元のWindowsのライセンスが確認できないため、インストーラーは、プロダクトIDの入力を求める。
画面1●Windows 10のインストールメディアからPCを起動した場合、アップグレード元のWindowsのライセンスが確認できないため、インストーラーは、プロダクトIDの入力を求める。
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