Instagramではどのようにユーザーに投稿させるのかがマーケティング成功の鍵となる。今回は、ユーザーを巻き込むキャンペーン設計のコツを実例から考えていきたい。特に、季節ニーズをうまく取り込んで投稿率を上げる工夫について紹介しよう。

作品の魅力再発見キャンペーンでO2Oに成功

図1●「#emptymet」の検索結果
図1●「#emptymet」の検索結果
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 まず紹介するのは、当初はビジネス目的ではなかったが、実際に足を運ばせることに成功したO2O事例だ。

 米国のカメラマン、デイブ・クルーグマン氏は、ニューヨークのメトロポリタン美術館がお気に入りだった。人々にもっとメトロポリタン美術館を知って足を運んでもらいたい。その思いでメトロポリタン美術館に企画を持ち込んだ。その企画とは、クルーグマン氏の知り合いのInstagramユーザーに、休館日のメトロポリタン美術館に入って館内を自由に撮影してもらい、写真をそれぞれのInstagramアカウントで公開してもらうというキャンペーンだ。

 ハッシュタグ「#emptymet」で分かる通り、「空っぽのメトロポリタン美術館」がテーマとなっている。この記事の執筆時点で、同ハッシュタグを付けた写真が9000件以上も投稿されている。美術品を美しく撮影した写真もあれば、絵の前に立って自分も絵の一部になったようなユニークな写真や、絵の中に描かれている人物や銅像と同じポーズをして写っている写真もある。新たな作品を発見したり、作品の新たな魅力を感じたりするきっかけとなっているのだ。

 これらの投稿は、投稿者がメトロポリタン美術館にチェックインすることで位置情報とひも付けられているため、投稿を見たユーザーが多数メトロポリタン美術館に足を運んだ。自分の目で確かめるために直接現地に足を運びたくなるという、O2Oの成功事例と言えるだろう。

気持ちが高まりSNSに投稿したくなる季節イベント

 過去に当連載で、ライフステージイベントには人はSNSに投稿したくなるという例をご紹介した。同様に、季節イベントもSNSに投稿されやすいテーマだ。

 LINE Research Platform×博報堂共同研究プロジェクト『若者インサイトラボ』の「ハロウィン調査」(2016年11月)によると、男性より女性の方がハロウィーンイベントへの参加率が高く、ハロウィーンのフィルターを使って写真を撮ったり、ハロウィーン風に加工した写真をLINEやTwitterなどのアイコンにするなど、SNSに投稿・活用して楽しむ傾向にあった。