SEが三流SEにならないために、若いSE時代に身に付けるべき重要ないくつかの考え方がある。それを身に付けていないSEは、30代後半から40代になって相当な確率で三流SEになる。ある意味で、そのいくつかの考え方はSEが落ちこぼれSEにならないための考え方の原則と言える。

 これまで、この連載の第1回(ITに詳しいSEは格好よく見える、だがそこに落とし穴がある)で第一の原則「ITをよく知っているSEが優秀なSEだと思うな」、第2回(会社はSEに何を期待しているか、それが分からないと三流SEになる)で第二の原則「しっかりしたSEになれるかどうかは『SEの職務』に対する考え方で決まる」について述べてきた。

「SEにとってITとは何か」「SEの職務は何か」を考える

 なぜこの二つの原則を最初に挙げたかだが、それはこの二つの考え方が顧客との仕事の仕方やプロジェクトのやり方、営業との仕事の仕方のベースになるからである。すなわち、SEは「SEにとってITとは何か」「SEの職務は何か」をどう考えるかによって、顧客や営業などとの仕事の仕方が変わってくるからだ。

 この二つに関しておかしな考え方をしているSEは、どうにもならない。そんなSEは顧客や営業やSE仲間と往々にしてうまく仕事ができない。ギクシャクしたり、もめたりする。そして顧客からも決して信頼されない。きっと読者の周りにも、そんなSEがいると思う。顧客や営業などから信頼され、バリバリ仕事をしているSEは、筆者が述べている第一の原則と第二の原則がしっかり身に付いているはずだ。

 繰り返すが、この二つの原則はSEの仕事の仕方のベースである。SEはITに関する技術力で困ったら、周りのSEに助けてもらえる。だがSEの仕事の仕方で顧客や営業ともめたりギクシャクしても、誰も助けることはできない。自分でうまくやるしかない。それができないSEは、しっかりした先輩SEや後輩SEに使われる三流SEになるか、転職するかしかない。

 そうならないためには、SEは若い時代にこの二つの原則をしっかり身に付けることが不可欠である。きっと若いSEは日ごろプロジェクトなどで忙しく、大変だと思う。だが時には酒を飲みながらでも友達と「SEにとってITとは何だろうか」「会社は我々SEに何を期待しているのだろうか」などと話し合って、ぜひ考えてみてほしい。

 また、IT企業やSEマネジャーは顧客から信頼されるしっかりしたSEを育てるために、SEの若い時代にこれまで述べた第一の原則と第二の原則を徹底して指導することだ。SEマネジャーの中には、「このSEは顧客や営業とうまく仕事ができない。困ったものだ」などと愚痴を言う人がいる。そんなSEマネジャーは愚痴を言う前に、日ごろこの二つの原則をSEにしっかり指導しているかどうかを考えてみてほしい。