インターネット広告大手のサイバーエージェントが現在、力を注いでいるのが動画広告だ。YouTubeに加え、FacebookやInstagramなども動画コンテンツの充実を図る中、必要になるのが動画の質と量を確保する手段。そこで同社は2016年3月、AI(人工知能)などを活用して動画広告を大量生産する仕組みを導入した。同社グループ3社の制作人員100人による当面の目標は月産3000本。早期に月産1万本に引き上げる。

クリエーター教育にも取り組む宮本氏
クリエーター教育にも取り組む宮本氏
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 新サービスの名称は「TAIRYO(タイリョウ)」。名前の通り、「質の高い動画を大量に作ることを目指した」(宮本篤史インターネット広告事業本部 クリエイティブソリューション局 マネージャー兼クリエイティブディレクター)。

 同サービスによる動画広告は、動画素材の選定から編集、初期設計、入稿審査、広告主企業による入札といった工程を経て配信する。配信後には視聴結果と効果のデータを抽出、分析して改善に生かすサイクルを構築した。

 このうち、AIをクリエーターの補助に使うのは素材選定と編集の工程だ。動画広告の依頼主企業の業種や商品の種類、アニメか実写かといった条件を入力すると、候補となる動画素材をシステムが提示する。編集についても、選んだ素材を並べて基本的な構成に沿った動画を自動作成。クリエーターの作業を助ける。