『母の日』に娘が『父親』へ、サプライズのプレゼント旅行を贈る。第一はリムジンで父を迎えに行くこと。驚く父親を乗せて、そのまま二人は北海道旅行へ。これが第二のプレゼントだ。

 なぜ母の日に、父親へプレゼントを贈るのか。遺影を取り出す娘。実は母親は既に亡くなっていた。『家族3人の時間』をもう一度過ごしたい。これが最後のプレゼントだった――。

 全日本空輸のグループ会社であるANAセールスが昨年ネット上に公開した「3 presents ~父に贈る3つのプレゼント~」という名称の動画だ。共有やコメントなどの数は合計で2万件と、有数の規模に達した。

 この動画制作をANAセールスから受託したのが、動画制作支援ベンチャー、Viibar(ビーバー)である。同社はプロの動画制作者3000人を組織し、ネット経由で動画制作案件と制作者をマッチングする動画制作のクラウドソーシングを手掛ける。

Viibarの小野マーケティングマネージャー
Viibarの小野マーケティングマネージャー
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 ただ、ANAセールスの動画は一人の聡明なクリエーターの発想や勘だけで作ったのではない。全ては“計算づく”だった。

 「受けるネット動画には『法則』がある。大量の動画データから法則を見つけ出して、受ける動画を作る方法論を構築した」。Viibarの小野敬明マーケティングマネージャーはこう説明する。

 動画は、今やネット上で最も急速に需要が高まっているコンテンツだ。サイバーエージェントの調べによると、日本国内の10代はスマートフォンで動画を視聴する割合は80%で、テレビとほぼ同水準(関連記事)。10代~40代は約半数以上がPCから動画を視聴し、20代以下に限ればスマホとPCでネット動画を見る割合は6割に達した。米シスコシステムズはインターネット上を流れるデータ量(トラフィック)に占める動画の割合が、2015年の70%から2020年には82%に高まると予測している。