2016年5月31日から6月4日まで台湾・台北市で開催された「COMPUTEX TAIPEI 2016」からは、2016年秋にも登場が期待される次期iPhoneの姿が見えてきた。

 例年通りなら2016年9月に発表される、「iPhone 7」に相当する次期iPhoneでは、さらなる薄型化に伴うイヤホンジャックの廃止が予想されている。COMPUTEX 2016会場の展示を中心に、米国で開催された「WWDC 2016」で発表された「iOS 10」を踏まえながら次期iPhoneの姿を予想してみたい。

スマホの薄型化を阻む「イヤホンジャック」の存在

 最近、スマートフォンの機能向上は頭打ちしており、市場全体が成熟化しているとの指摘が増えている。その一方で、細かく見ていけば依然として進化は続いている。

 モバイルデバイスとして画面サイズの大型化には限度があるものの、ベゼルの狭額縁化などで画面占有率は上がっている。4Gバイトを超える大容量メモリーや、USB Type-Cの採用も進んでいる。

 こうした中、2016年に本格化してきた新たなトレンドとして、「イヤホンジャックの廃止」がある。言うまでもなく、3.5mmのステレオミニプラグはヘッドホンやイヤホンに広く採用されており、イヤホンジャックはサウンド機能のあるモバイルデバイスのほとんどが標準で搭載している。なぜ、このタイミングでイヤホンジャックを廃止する必要があるのだろうか。

 その背景には、スマートフォンの薄型化が進んでいることが挙げられる。薄型のノートPCから有線LANやアナログRGB出力の端子が消えていったように、スマートフォンではイヤホンジャックの厚みが薄型化のボトルネックになりつつあるという。逆に言えば、イヤホンジャックを考慮しなければ、さらなる薄型化が見えているというわけだ(写真1)。

写真1●イヤホンジャックの大きさが薄型化のボトルネックに(写真はHUAWEI P9)
写真1●イヤホンジャックの大きさが薄型化のボトルネックに(写真はHUAWEI P9)
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 iPhoneよりさらに薄型のiPod touchでは、3.5mmのイヤホンジャックを搭載しつつ、iPhone 6sより1mmも薄い、6.1mmという厚さを実現している。工夫次第では、イヤホンジャックを残しながらiPhoneを薄型化できる道が残されているかもしれない。

 とはいえ、現在のスマートフォンにおいてイヤホンジャックは最もかさばる端子になっている。「レガシー」インタフェースとして白羽の矢が立つことも、やむを得ない印象だ。

 2016年4月には、初のUSB Type-C搭載スマートフォンを発表したことでも知られる中国LeEcoが、イヤホンジャックのない最新スマホ「Le 2」シリーズを発表。単に端子を廃止するだけでなく、USB Type-Cを利用した新たなロスレスオーディオを同時発表したことでも注目を浴びた。