これまで筆者の就活で経験してきたこと、実践してきた主な内容について述べてきた。今回は就活に関して大きなテーマで書き切れなかった筆者自身の体験、筆者以外に就活を乗り越えてきた方々の話などを交えて、就活者の心構え、筆者が就活している方々を支援させてもらって気付いたこと、心掛けたいことなどを紹介したい。

中高年の就活は短期決戦で臨む

 中高年の就活は、「1カ月が勝負」と心得え、全力を尽くした方がよい。筆者が知る実際に就活に取り組んでいる人だけでなく、ネットの情報でも散見されるが、中高年の転職活動は長期化してしまう実態がある。その理由の一つとして、失業保険の給付金を得ながら、焦らずに長い期間で就活してしまうからではないかと筆者は考える。

 実際そういう方を多く見てきた。「退職してしばらくは旅行などして骨休みをしてから新しい生活に向けて気持ちを切り替えよう」「これまで一生懸命働いてきたからここで少し一休みしよう」。何となくそんな風に考えてしまいがちだが、本当に就職したいのであればそう考えるのは誤っていると断言できる。就活期間が長くなれば、それに比例するように就活は不利になっていく。まず書類選考で不利になる。幸い面談になったとしても、会社からすれば「今まで何をしてきたのか」疑問に思うし、間違いなく面談時にそのことを聞かれる。就活者の転職への意欲を問われることになるのである。

 幸いにして内定をもらえても、そこで安心はできない。就活に本当に成功したかどうかは入社するその日まで分からないからだ。入社直前に会社が急に業績不振となり、内定を取り消されることなどよくある話で、筆者もそれは実感した。筆者の就活は2015年10月1日に退職したが、実質有給休暇を活用し、その半月前の9月中旬から就活を開始。いろいろ経緯はあったが、転職が確定したのは10月中旬である。入社は11月1日。他の内定を断っており、頼りの転職先から内定を取り消されたらたまらない。筆者は実際かなり気になり、いてもたってもいられなくなってしまった。

 そこで筆者は“ツテ”のM氏に会い(第2回参照)、入社前に転職先で何か手伝える仕事はないか申し出た。幸いにも転職後にN社は展示会を控えており、展示会のパネル原稿作成の仕事をボランティアで引き受けた。そうすることで、第一に自身が安心するし、受け入れる会社としても筆者のパフォーマンスを知る機会になり一石二鳥になる。筆者は、このような作戦に出たが、ほかにも様々なやり方があるだろう。転職前のリスク回避の参考になればと思う。