前回は、なぜ定年まであと3年に迫った筆者が超大手企業A社の部長職をなげうって、就職活動を開始したのかを説明した。改めてここでA社を辞めた理由を書いておきたい。以下の2点になる。

  • 自分に合わない仕事をあと3年間やり続ける気力がなくなった
  • これまで培った経験を生かし、生き生きと仕事をしたかった

 そして、「得意のスキルでもう一度社会にチャレンジしたい、できれば社会に貢献したい」との思いが次第に強くなり辞職に踏み切ったのは前回述べた通りだ。

 さて2015年9月末にA社を辞職し、いよいよシニアの就活の開始である。筆者は57才という再就職には不利な年齢であることに加え、転職確実な縁故もない。就活が厳しいものになることはある程度は覚悟していた。

 実際、年齢が高くなればなるほど中堅企業の正規雇用の機会は一気に少なくなる。いざ自分がそうした立場に置かれると、間違いなく年齢が上がるにつれて就職可能率は指数関数的に減少することが実感できる。これまでの業務経験が果たして通じるのか、これまで取得した資格などが生かせるのか・・・。正直ビビってきた。

 しかしいろいろ調べるうちに、中堅企業ではなく、多くの中小企業は年齢制限なく即戦力を求めている状況が分かってきた。見方を変えれば「経験を生かせそうな業種もたくさんある」と自分に都合のいいように解釈して、ターゲットを中小企業に絞った。そうは言っても中小企業が必要とする人材でなければ、狭き門であることに変わりはない。就活に打ち勝つには戦略、そして人と違うやり方が必要だと自然と意識するようになった。

 様々な情報を集め、就活に必要な事項を下記の通り整理した。

  1. シニアの就活情報の収集(就活の先輩達のアドバイスと実態を知る)
  2. 就活と工夫すべきこと(履歴書関係・面談・処遇・就活支援会社の活用・そして“ツテ”)
  3. 収支計画付きライフイベント表の作成
  4. 家族の理解
  5. 自分への覚悟
  6. 会社選び

 2の「就活と工夫すべきこと」が最も重要だと思われがちだが、一番大事なのは4の「家族の理解」だと筆者は後で思い知ることになる。いずれにせよ、まずは必須事項を頭にたたき込み、就活に立ち向かうことにした。ちなみに筆者は2と3を同時並行で進めたため、計画に狂いが生じ、いろいろ混乱することになった。このあたりの失敗談は次回以降で述べたい。