Windows 95が登場して20年以上が経過した現在、既に「最初のパソコンがGUI(Graphical User Interface)」というユーザーがIT業界でも活躍する時代になっている。かつては、パソコンユーザーのほとんどが操作していたコマンドラインも、触ったことがないというユーザーが大半を占めるまでになった。

 しかし、コマンドラインは「死んで」はいない。いや、1回死んで、2度目の人生を歩んでいると言ってもいいかもしれない。今回は、Windows 10のコマンドライン環境(コマンドプロンプト)の現状とメリットなどを解説する。

 Windowsのコマンドライン環境は、Windows 2000で拡張された後、大きな変化がなく、Windows XPでMS-DOSが完全に無くなって以来、Windows 8/8.1まで大きな変化はなかった。

 しかし、Windows 10では、久々にコマンドプロンプトウインドウが改良され、さらに今年の夏に登場する「Windows 10 Anniversary Update」では、Linuxまでをも取り込むことになった。ある意味、Windows 10で「復活」したと言ってもいいだろう。

 ここで、コマンドラインを触ったこともないユーザー向けに簡単にメリットなどを説明しておこう。Windowsでは、大半の機能をGUIで行うことが可能で、それ以外の機能はAPI(Application Programming Interface)を呼び出すプログラムを作ることで利用可能だ。

 GUIは、操作を分かりやすくすることはできるが、ユーザーがマウスなどで最初から最後まで「操作」する必要がある。これに対してコマンドラインでは、コマンドを起動するときに必要な設定を全て行い、あとは処理が終了するまで放っておける。コマンドとはテキストで表現されたプログラムの名前であり、コマンドラインとは、コマンドとプログラムに与える指示(これもまたテキストだ)を並べたもの、と表現できる。

 コマンドラインでは、複数のコマンドを連続して実行する仕組みや、プログラムへのキー入力をテキストファイルから読み込むなどの機能が用意されている。こうしたコマンドラインからの操作をGUIと対比して「CUI」と呼ぶこともある。「C」はコマンドラインを構成する「文字」である「Charactor」であり、「Command Line」でもある。極端な言い方をすれば、ソフトウエアを「ライブ」で操作していくのがGUIで、最初に手順をまとめて指示して実行させるのがCUIだ。

 さらにコマンドラインでは、同じ処理は、1回記述しておけば、後で何回でも、あるいは対象がどんなに大きくても繰り返し行う方法が用意されている。

 CUIを持つシステムのほとんどが、複数のコマンドを組み合わせて実行する何らかの「コンピュータ言語」を持っている。

 単純には、複数のコマンドを並べただけでプログラムとなり、同じ手順をいつでも繰り返し実行できる。さらに通常のプログラミングと同じく、制御構文を使って繰り返しや条件判断を行うことも可能だ。コマンドがエラーになったときに別の処理を行う、指定された回数を繰り返すといった記述ができる。