ネットサービスからの情報漏洩や、SNSアカウントの乗っ取りなど、ユーザーアカウントに関する心配ごとは多い。芸能人や会社経営者のSNSアカウントが乗っ取られる事件は、たびたびニュースになっている。

 個人で実施すべき対策は、IDやパスワードを適切に管理することにつきる。特に重要なのは、任意の文字列を指定できるパスワードを適切に設定し、運用することだろう。

 そこで役立つのが、スマートフォンやパソコンで使える、パスワード管理アプリだ。

 パスワードを管理する方法としては他に、「記憶する」「手帳やメモに書いておく」「Excelファイルなどに入力しておく」といったところが考えられる。ただし、どの方法も一長一短だ。

 それに対して、パスワード管理アプリには以下の4つの特徴がある。

[1]複雑なパスワードをたくさん覚える必要がない

画面1●Webサイトのサインイン画面。パスワードが思い出せず困ったことはないだろうか
画面1●Webサイトのサインイン画面。パスワードが思い出せず困ったことはないだろうか
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画面2●パスワード管理アプリ「LastPass」の画面。IDとパスワードの情報がサイトのURL順に並ぶ
画面2●パスワード管理アプリ「LastPass」の画面。IDとパスワードの情報がサイトのURL順に並ぶ
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 ネットサービスやSNSで設定するパスワードは、なるべく同じものにしないのが、安全の鉄則だ。一度パスワードを推測・特定されてしまうと、ほかの複数のサービスでも不正利用される恐れがあるためだ。

 しかし素直にこれを実行すると、利用するサービスが増えるにつれてパスワードも増加することになる。覚えておくのは難しい。肝心なときに思い出せない、というケースも出てきそうだ(画面1)。

 最近はサインインにGoogleやFacebook、Twitterのアカウントが利用できるサービスが増えている。新しいパスワードを考えずにすむが、そうしたサービスばかりではない。

 そこで、パスワード管理アプリを使う。サービスごとにIDとパスワードの組み合わせをアプリに登録し、必要に応じて参照する。IDとパスワードは、サービスのURLごとに自動的に記録できるアプリもあるので、入力や参照の手間もかからない(画面2)。

 パスワード管理アプリの多くはiPhoneやAndroidスマートフォンで動作する。スマートフォンを携帯している人ならいつでも参照できる。パスワードを書いた紙やファイルが見つからない、などといった状況になることはなさそうだ。

 ユーザーが記憶するのは、「マスターパスワード」と呼ばれる、管理アプリ使用時の認証のために入力するパスワードだけでよい。