スマートホームの代表格といえば「HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)」だ。HEMSを実現するためのツールの一つが、スマートメーターである。東京電力エナジーパートナーといった電力各社は、電力メーターを順次、スマートメーターに置き換えている。自宅が既にスマートメーターになっている方もいるだろう。

スマートメーターの例
スマートメーターの例
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 スマートメーターは電力会社が検針を遠隔で行うために用意されたものだが、宅内からも情報を取得できる。それぞれ技術方式が異なり、電力会社が情報を取得する方式を「Aルート」、宅内から情報を取得する方式を「Bルート」と呼ぶ。今回はBルートから消費電力情報をリアルタイムに取り出す方法を紹介しよう。

 以下は関東圏を例にしたものだ。

 関東の場合、Bルートを利用するためには東京電力パワーグリッドの「電力メーター情報発信サービス(Bルートサービス)」に申し込む必要がある。申し込みが完了すると、優先的にスマートメーターに置き換えてくれる。

 利用料は無料で、置き換える際には通常、停電もない。申し込み後しばらくすると、メールと郵送でBルートサービスを利用するための認証IDとパスワードが通知される。これで環境の準備は完了だ。

 実際にBルートを経由してスマートメーターにアクセスするための技術的トピックについて解説しよう。Bルートの通信方式は無線だ。920MHz帯を使う無線通信規格「Wi-SUN」を利用する。Wi-SUN上のIPv6でスマートメーターと通信を行い、IPv6の上で「ECHONET Lite」を利用して電文をやり取りする。

 Wi-SUNを扱うためにはUSBドングルを利用する。現在、国内で入手可能で、かつ、1個単位で購入可能な製品には、筆者が知る範囲で、ロームと台湾のJorjin Technologiesが共同開発した「WSR35A1-00」や、テセラ・テクノロジーの「RL7023 Stick-D/DSS」があり、それぞれ1万5000円程度で購入できる。

Wi-SUNを扱うためのUSBドングルの例
Wi-SUNを扱うためのUSBドングルの例
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