スマートフォンからBLE(Bluetooth Low Energy)やUSBなどを通じて、カメラやセンサー、スマートグラスなどのデバイスと連携できることは、読者の皆さんもよくご存じだろう。モノの連携というものは、エンジニア魂に火をつける。

 しかし、スマートフォンのWebブラウザーからできることは限られている。私のようなWebエンジニアから見ると、指をくわえて眺めるしかないのが実情だ。

 そこで紹介したいのが、「デバイスコネクトWebAPI(デバイスコネクト)」だ。デバイスコネクトは、Webブラウザー上で動作するWebアプリから、様々なデバイスを操作するためのAPIだ。APIが抽象化されているため、BLEやUSBのような接続形態や、デバイス固有の仕様を意識する必要がない。環境を整えれば、専門的な知識がなくてもデバイスを制御するWebアプリを作れるのだ。

カメラ、時計、センサーなどを制御

 デバイスコネクトは携帯電話の標準化団体であるOMAで標準化された「GotAPI」と呼ばれるフレームワークの仕様に準拠している。GotAPIの標準化ではNTTドコモが主導的な役割を担い、デバイスコネクトもNTTドコモが開発した。デバイスコネクトは原則として無償、無制限に利用できるMITライセンスで、ソースコードがGitHubに公開されている。GitHubから「DeviceConnect」と検索すれば見つかるはずだ。

 デバイスコネクトを利用するためのスマートフォンアプリは、ソフト開発会社のGClueがコンソーシアムの活動の一環で開発し、Google PlayとApple AppStoreに「Device Web API Manager」という名称で公開している。2015年4月にはNTTドコモとソフトバンクが中心となり、デバイス連携に関する情報交換や業界の発展を目的とした「デバイスWebAPIコンソーシアム」も設立され、2016年7月時点で106社もの法人が加盟している。

 今回はデバイスコネクトの開発を担当し、コンソーシアムで中心的な役割を担っているNTTドコモのコアメンバーに会い、実際にデバイスコネクトで制御可能なデバイスの一部を見せてもらった。

デバイスコネクトの開発を担当し、コンソーシアムで中心的な役割を担っているNTTドコモのコアメンバー
デバイスコネクトの開発を担当し、コンソーシアムで中心的な役割を担っているNTTドコモのコアメンバー
右からNTTドコモ サービスイノベーション部の 吉川 貴氏、山添 隆文氏、山下 顕氏
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