Raspberry Pi(ラズパイ)を使って天体望遠鏡を高精度に制御し、きれいな天体写真を撮れるようにしたシステムの作り方を紹介します。このシステムは、2015年5~10月に開催された「みんなのラズパイコンテスト2015」で100件以上の応募の中からグランプリをいただきました。
このシステムで撮った写真をまずご覧ください。図1はへび座にあるM16という散光星雲です。翼を開いたワシのように見えることから「わし星雲」と呼ばれています。ちょうど天の川の真ん中辺りに位置していて、真夏の夜空で見られます。
図2はさんかく座にあるM33という銀河です。見ての通り渦を巻いている渦巻銀河の一つで、我々のいる銀河系から約250万光年離れたところにあります。有名なアンドロメダ座大星雲の近くに見えていて、秋の夜空に見ることができます。
「赤道儀」で星を止めて撮影
このような写真は「赤道儀」と呼ぶ装置を使って撮影します。
地球の自転のため、星は1日で約1周するように空を移動していきます。この動きを日周運動と呼びます。一方、星は非常に暗いためカメラのシャッターを数分から数十分開けたままにして、できるだけたくさんの光を入れる必要があります。しかし単にカメラを三脚に据えて撮影すると、シャッターが開いている間に星が移動し、図3(a)のように星が北極星を中心に円を描くような写真になります*1。
この動きを止めて撮影するための装置が赤道儀です。赤道儀は北極星に向く軸*2を中心に、日周運動に合わせてゆっくり望遠鏡を回転させます。取り付けたカメラも一緒に回転させることで、図3(b)のように星を止めて撮影できます(逆に地面は回って写ります)。