ゴーグル型ディスプレイを装着して、操縦者の視点で戦車を操縦して対戦できるシステムです(図1)。敵の戦車に貼り付けたマーク(ARマーク)に照準を合わせて、操作リモコン(PlayStation 3用)の攻撃ボタンを押すと当たり判定になります。

図1●操縦者視点で操作できるリモコン戦車
図1●操縦者視点で操作できるリモコン戦車
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 システムを動かすソフトウエアをすべてHTML5の技術で実現しているのが大きな特徴です。

 リモコンの信号はBluetooth経由で、パソコン上のWebブラウザーアプリで受け取ります。Webブラウザーアプリは双方向通信技術の「WebSocket」を使って、戦車に搭載したRaspberry Pi上のWebサーバー(Node.js)アプリに信号を送ります。サーバーアプリがモーターを回して戦車を前後左右に動かしたりします。

 戦車にはRaspberry Pi公式のカメラモジュールを装着していて、WebRTCという技術を使って、その動画ストリームをゴーグル型ディスプレイ上のアプリに送ります。

 ゴーグル型ディスプレイは、スマートフォンを装着して使う紙製の製品「ハコスコ」(1000円程度から)を利用します。スマートフォンにはFirefox OS搭載機を使い、動画ストリームはFirefox OSアプリで受け取ります。Firefox OSアプリはすべてHTML5で記述しています。

 対戦相手の戦車に付いたマークは、Firefox OSアプリで認識します。照準マークの重ね合わせはHTML5の「Canvas」を使って表示します(図2)。Firefox OSアプリで流す音楽(効果音など)も「Audio要素」で再生します。

図2●戦車のマークに照準マークを重ね合わせているところ
図2●戦車のマークに照準マークを重ね合わせているところ

 戦車は黄ボール紙を使ったペーパークラフトです。型紙からスクラッチで手作りしています。車体内にはRaspberry Pi、モバイルバッテリー、モーター駆動用電池ボックス、モータードライバー回路などをコンパクトに収めています。