農業や建設現場などで、現場の様子を把握するために、ドローンを駆使する取り組みが加速している。カメラで画像データを収集して現場の3Dモデルを作成、コンピュータ上で再現する。IoT(インターネット・オブ・シングズ)やカメラなどを駆使してコンピュータ上に構築した「データワールド」を業務に役立てる。

 測量を手掛ける岩崎(北海道・札幌)はドローンで農場や牧草地の3Dモデルを作成し、現場調査に役立てる。「経験や勘に頼るのではなくて、収集したデジタルなデータを農業に生かす」。同社 企画調査部 企画開発グループ 精密農業チーム 岩崎当別農場の河手健一農場長はこう話す(写真1、2)。

写真1●測量を手掛ける岩崎は、エンルート製のドローンを測量に使う
写真1●測量を手掛ける岩崎は、エンルート製のドローンを測量に使う
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写真2●ドローンの活用に取り組み岩崎のメンバー。一番右が河手農場長、右から二番目が金子課長代理
写真2●ドローンの活用に取り組み岩崎のメンバー。一番右が河手農場長、右から二番目が金子課長代理
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 ドローンの開発、販売を手掛けるエンルート(埼玉県・ふじみ野)の機体を使う。離陸、着陸などの操作は手動だが、飛行経路はあらかじめ専用のソフトウエアで指定する。

 ドローンの主な用途は牧草の種類の判別だ。ドローンが撮影した画像データを基に、牧草地の3Dモデルを作成する(写真3)。3Dモデルを見れば、牧草地に生えているのが、牛などの家畜が好む牧草なのか、それとも雑草なのか、などを簡単に見分けられるという。このほか「牧草の丈を確認できるため、成育診断にもつなげられる」(岩崎 企画調査部 企画開発グループ 精密農業チームリーダーの金子和真課長代理)。

写真3●岩崎がドローンを使って作成した3Dモデル
写真3●岩崎がドローンを使って作成した3Dモデル
(出所:岩崎)
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 人手に比べて、測量時間を大幅に短縮できる。岩崎が2016年4月に検証した例では、9ヘクタールほどの牧草地を測量するのに、ドローンの飛行時間は約12分ほどで済んだ。撮影した枚数は約260枚だ。これらの画像データを基に、3Dモデルを作成した。「従来の手作業による測量では、丸一日かかっていた」(河手農場長)。