2016年3月、北海道札幌市内にある温泉地「定山渓」に1本の水管橋が完成した。この水管橋の工事に、ヘッドマウントディスプレー(HMD)によるバーチャルリアリティ(VR)を活用したのが、土木工事を手掛ける一二三北路(ひふみきたみち、北海道・札幌)だ。

 水管橋とは、水を通す「水管」を設置するための橋のこと。定山渓にあるダムから札幌市内に導水路を敷くために作られた。ダムから引いた水管は水管橋を使って、2020年度までに設置される予定である(写真1、画像1)。

写真1●水管橋が完成する前の作業現場の様子
写真1●水管橋が完成する前の作業現場の様子
(出所:岩崎)
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画像1●水管橋が完成した後のイメージ
画像1●水管橋が完成した後のイメージ
(出所:岩崎)
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VRで工期遅れによる原価圧迫を防ぐ

 「土木工事の作業現場は常に事故と隣り合わせ。事故が発生すると少なくとも1週間、長ければ数カ月にわたって工期が遅れてしまう」。一二三北路 土木工事部の坂下淳一課長はこう説明する。VRを使ったのは、このような土木工事における事故を防ぐためだ。