Windowsには、ファイル履歴やWindowsバックアップ以外にもリカバリー機能がある。それらは以下の通りだ。
- システムの復元(復元ポイント)
- システムイメージの作成
- このPCを初期状態に戻す(リフレッシュとリセット)
- 回復ドライブ/システム修復ディスクの作成(リカバリーメディア)
「復元ポイント」はアプリケーションやドライバーのインストールなどのタイミングで直前の状態を保存しておくもの。PCの調子が悪くなった場合などにユーザーの判断により、保存しておいた状態へ復帰させる。バックアップは自動で行われるが、復帰はユーザーが手動で行う必要がある。この機能の存在を知らなければ、使われることがなく、バックアップが無駄になってしまう。
「システムイメージの作成」は、Windowsバックアップのシステムイメージと同じで、現在のHDDのイメージをVHDファイルで保存する機能だ。Windowsバックアップに自動実行機能があるため、この機能は自動で行われることはなく、ユーザーが必要に応じて作成する。
「このPCを初期状態に戻す」は、Windows 8で導入されたPCの「リフレッシュ」と「リセット」機能だ。前者は、ユーザーファイルを残してWindowsを再インストールし、後者は、ユーザーファイルを全て消去してWindowsを再インストールする。どちらもWindowsの再インストール機能だが、「リフレッシュ」は、リカバリー的な要素があるのに対して、「リセット」は、利用者の痕跡を残さないように譲渡や廃棄前の作業として行うことが想定されている。
Windows 10のリフレッシュ、リセットは、Windows 8で実装されたものとは動作が異なり、固定したシステムイメージを使うのではなく、自分自身から作成した最新版に近いWindows 10(およそ1カ月前の状態)のシステムイメージを自動的に作成して再インストールする。
「回復ドライブの作成」「システム修復ディスクの作成」は、どちらも、PCを起動するためのメディアを作成するツール。これには、回復環境が含まれ、作成したメディアからPCを起動し、メンテナンス作業などができる。
Windowsバックアップや「システムイメージ」を使って、HDDを復旧するような場合に利用する。なお、「システム修復ディスクの作成」は、光学メディア専用の「回復ドライブ」を作成する機能だ。
このほか、Windowsの標準機能ではないが、メーカー製マシンには、「リカバリーメディア」の作成機能がある。メーカー製のPCには、「回復パーティション」がある。Windowsがインストール時に作る「回復パーティション」と区別するため以後「メーカー回復パーティション」と呼ぶ。