Windowsにはファイルやシステムを保護する様々なバックアップ機能がある。Windows 7から8/8.1、10とバージョンを重ねるごとに、そうしたバックアップ機能も強化されてきた。削除や意図せぬ上書きからファイルを救ったり、不調になったシステムを回復させるには、バックアップ関連機能の全体像を理解して、あらかじめ準備しておく必要がある。
今回から5回にわたって、Windows 10が備えるバックアップ関連機能を解説する。第1回と第2回は、「ファイル履歴」だ。
ファイル履歴は、ユーザーデータの保護に重点を置いたリカバリー機能だ。標準状態では、ユーザーフォルダー以下が保護の対象となるが、ライブラリに登録することで任意のフォルダーをバックアップ対象にできる。
他のバックアップ方法と違うのは、バージョン管理が可能なことと、NTFSのジャーナル機能や低プライオリティIO機能を利用しているため、システムに対する負荷が低く、最短10分間隔でバックアップできる点だ。
ファイル履歴はモバイル利用も想定されており、保存先の外部ドライブは常に接続されていなくてもよい。保存先が利用できない間はローカルドライブ内にキャッシュを作ってバックアップを継続する。また、動作中のスリープなどにも対応ができる。
Windows10では、モバイルPCは「BitLocker」などによるファイルの暗号化が標準だが、ファイル履歴もファイルの暗号化に対応しており、バックアップされるファイルも暗号化される。
その一方でファイル履歴は、ファイル名などが原因でエラーが出やすく、利用に注意を要する(次回で詳しく解説する)。暗号化やファイル名取り扱いの問題などから、リストアはバックアップしたマシンの該当ユーザーが行う作業になる。他のPCや他のユーザーへリストアするユーザーインタフェースはない。ファイル履歴は「いざ」というときの一種の保険であり、別のバックアップ手段も併用した方がよい。
適切に使うには準備が必要
ここからは、画面キャプチャと説明をベースに作業手順を解説する。
ファイル履歴では、ユーザーフォルダー以下にないフォルダーを対象にする場合には、自分のライブラリに登録する必要がある。Windows 10のエクスプローラーは、標準ではライブラリを表示しないため、ライブラリを表示させて、新規にライブラリを作成してそこに、対象フォルダーを登録する。
ライブラリへの登録は、あくまでもファイル履歴機能にフォルダーを認識させるための手段だ。ライブラリとして利用する必要もなく、単に新規に作ったフォルダーに必要なフォルダーを全て登録してしまっても構わない。もちろんファイルの内容に応じて分類してライブラリを作成して登録してもよい。
まずはライブラリの表示と作成だ。