イオン銀行が2016年4月22日に発表した、イオンカードにおける過剰請求。そのキャッシングサービスを支えるイオンクレジットサービス(ACS)の業務システムには事実上、利息の日割り計算を自動処理できる仕組みがなかった(関連記事:根深きイオン銀行の過剰請求、システムに日割り利息計算機能が事実上なし)。そのことが、2400件の過剰請求を招く結果となった。

 しかし、同業務システムがトラブルを引き起こしたのは、今回が初めてではない。今から遡ること約10年前。大規模なシステム障害が引き金となり4カ月間にわたって、顧客対応や事務処理の現場は混乱を極めた(図1)。

図1●イオンクレジットサービスの業務システムで約10年前に発生したトラブルを示す内部資料
図1●イオンクレジットサービスの業務システムで約10年前に発生したトラブルを示す内部資料

 ACSは2005年3月2日、貸金業法の改正対応などを目的に業務システムを改修、本番稼働させた。ところが切り替え当初から、トラブルが頻発した。翌日である3月3日には、「早期完済などの入金分が返済分に充当されない」「画面表示が異常」といった障害が発生。3月4日以降も新たな問題事象が次々と追加報告され、収束する気配はなかった。

 その間、情報システム部門は十分な対応ができていなかったようだ。3月上旬に作成された内部報告書には、「システム(部門)から連絡がなく、現場は対応に苦慮している。顧客からコールセンターや各支店・営業所に対してクレームが寄せられており、至急、システム障害全体の状況を報告してほしい」と記されている。