レイヤー3(L3)スイッチの用途が広がりつつある。L3スイッチは、IPパケットを転送する機能を持つLANスイッチを指す。IPがOSI参照モデルのネットワーク層(レイヤー3)に当たるため、こう呼ばれる。最近のL3スイッチは、企業ネットワークのコア層やディストリビューション層での役割に加え、アクセス層でも利用されたり、データセンター向け技術の流用が始まったりしている。この背景には、価格の低下と多機能化がある。

 ジュニパーネットワークス技術統括本部第三技術本部シニアテクニカル・コンサルタントの濤川 慎一氏は、「近い将来、ネットワークを構成する全てのスイッチがL3スイッチになる時代が来る」と話す。本特集では、企業ネットワークの中核を担うL3スイッチについて、その最新事情や機能・用途を解説していく。前半はL3スイッチの変化や、基本機能について、後半は変化1つ1つの詳細について触れる。

▼LANスイッチを指す
LANスイッチは、イーサネットの通信を「切り替える」ことからこの名がある。宛先MACアドレスなどの情報からイーサネットフレームを、適切な接続ポートに送り出す。
▼コア層やディストリビューション層
企業などのネットワーク(キャンパスネットワーク)では、パソコンなどの端末をつなげる「アクセス層」、それらを束ねる「ディストリビューション層」、ディストリビューション層のスイッチを束ね、サーバー類やインターネットにつなぐ「コア層」の3層構造をとることが多い。