メールを送受信する端末やアプリケーションは多種多様です。筆者の場合、パソコンでは米モジラのThunderbirdを利用していて、スマートフォンではキャリアのメールクライアントや米アップルの「メール」を利用しています。

 しかし一番利用しているのはWebメールのGmailです。専用のメールクライアントソフトをインストールしなくても、Webブラウザーからメールを送受信できます。

衝撃的だったGmailの登場

 Gmailの登場は衝撃的でした。Gmail以前にもWebメールはありました。しかし、JavaScriptをふんだんに使い、従来のWebメールと一線を画した使い勝手を実現していたのです。通常のメールクライアントと変わらない操作感を実現していました。

▼JavaScript Webブラウザーの制御用に開発されたプログラミング言語。機能が拡大し、最近ではアプリケーション開発に用いられている。

 今ではほとんどのWebメールはJavaScriptを多用しています(図5-1)。Gmailと並ぶ大手のWebメールとして、米マイクロソフトの「Outlook.com」があります。少し違うのが、メッセンジャーのSkypeと連携している事です。Outlook.comの画面でメールと同時にSkypeを通じたメッセージ通信もできます。Gmailの場合、チャットサービスの「Googleハングアウト」を利用できます。

図5-1●Webメールの画面構成
図5-1●Webメールの画面構成
GmailとOutlook.comが典型的なWebメールだ。どちらもJavaScriptを使い、リアルタイムでメールを送受信できる。OutLookはSkypeによるメッセージングも可能。同様にGmailはHangoutを利用してチャットできる。
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 Gmailのメールの受信方法を、Gmailで受信したメールのヘッダーから予想しました(図5-2)。Gmailの場合、最初にメールを受信するMTAは「mx.google.com」です。最初のMXでメールを受信したら、次は内部に複数のMTAがリレーするようです。一方、どこから届いたメールでも、同じIPアドレスのMTAでメールを受信していました。したがって、Gmailではメールを格納するMTAはユーザーごとに決まっていて、そのMTA宛てにメールがリレーされているのでしょう。最初のMXと次のリレーサーバーがロードバランサーの役割を果たして、大量のメールをさばいていると考えられます。

図5-2●筆者が推測するGmailがメールを受信する仕組み
図5-2●筆者が推測するGmailがメールを受信する仕組み
Gmailで付与されるメールヘッダーから推測すると、メールの受信後に一旦リレーサーバーにメールを配送後、ユーザーが所属するMTAにメールを配送しているようだ。筆者のアカウントの場合、常に同じMTAで最終的にメールを受信しているため、上記のような受信方法だと推測される。
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