メールが「届く」仕組みを考えると、その主役を担うのはメールサーバーに備わるMTAの機能です。このパートではMTAにスポットを当てましょう。
MTAにはいくつか種類がありますが、一般的に使われているのは、「Sendmail」「qmail」「Postfix」の3つです。これら3製品で国内のMTAの90%以上ものシェアを誇っています▼。これ以外に最近注目のMTAに「Exim」があります。DebianやUbuntu▼に標準で採用されています(表3-1)。
一番古くから利用されているMTAはSendmail▼です。1981年にリリースされてから改変を重ね、35年もの間、多くの人に利用されてきました。
次に登場したのがqmailです。このqmailは動作が高速で、セキュリティも非常に強固な特徴があります。設定ファイルも簡単です。ただqmail本体のソースコードは1998年のリリースが最後で、それ以降は開発が止まっています。ほかの開発者が機能追加やバグ修正のために用意した多くのパッチ(修正プログラム)を適用して運用しなければならないという問題があります。
最近よく利用されているのはPostfixです。MySQL、PostgreSQL▼などデータベースとの連携機能が充実していたり、Webベースの管理画面で簡単に利用できたりするなどの理由から、多くのシステムで採用されています。