ネットワークで「通信」というとTCP/IPやHTTPといったプロトコルの名前、ルーターやLANスイッチといったネットワーク機器などが思い浮かぶのではないでしょうか。

 ネットワークを流れるデータのほとんどは、TCP/IPに代表されるように、なんらかのプロトコルに従ってやり取りされます。インターネットはこれらのプロトコルによって支えられているといっても過言ではありません。

▼TCP/IP
Transmission Control Protocol/Internet Protocolの略です。TCPとIPはそれぞれ別のプロトコルですが、一緒に使われる場合はこのように表記します。
▼HTTP
HyperText Transfer Protocolの略です。
▼プロトコル
もともとは複数の人間が何かを確実に実行するための手順を定めたものです。外交儀礼という意味もあります。

物理的な経路をたどる

 ここでは、なぜ通信できるのかを物理的な面から見てみます。

 Webや動画のデータは物理的なLANケーブルの上を流れています。例えばデスクトップパソコンのNICには、カテゴリー5や6のケーブルが挿さっています。図1-1の右のケーブルです。左にある光ケーブル(FC)は10Gビット/秒などの高速通信に使われます。データセンターにおけるスイッチ間接続や、国内に張り巡らされたインターネット網の物理的な接続で利用されています。

図1-1●ネットワークに接続する「ケーブル」
図1-1●ネットワークに接続する「ケーブル」
一般に見かける有線LANのケーブルは、形状は変わらないものの、対応する規格によって「カテゴリー5」「カテゴリー6」などに分かれている。光ケーブルも同様だ。光ケーブルは、中核となるスイッチ間や、ストレージ-サーバー間などで使われる。無線LANはチップが機器に組み込まれているため目にすることは少ないが、チップがケーブルの役割をしていると考えられる。
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 図1-1で一番小さいのがWi-Fiのチップです。写真はデバイスへの組み込みや製品の評価用のモジュールですが、実際のWi-Fiチップもほぼ同程度の大きさです。最近ではIEEE 802.11acのように、最大通信速度がギガビットクラスの無線LAN規格も登場しています。インターネット通信は、こうした物理的なケーブルやチップによって支えられています。

▼NIC
Network Interface Cardの略です。
▼カテゴリー5や6
ネットワークケーブルは、性能を「カテゴリー」で分類しています。カテゴリー5は100M/1Gビット対応、カテゴリー6はギガビット対応です。