CCPM(クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメント)によって、システム開発の工期を短縮した企業が出てきている。連載3回目は、実践企業が取り組んだ工期短縮の鍵として、タスクを始める前に準備を万全にする「フルキットの徹底」を解説する。

 「部品の図面、マシニングのプログラム、刃具など、その工程を完了できる材料が揃ってからタスクを始めるやり方を徹底した。これにより、タスクがスムーズに流れるようになり、工期の短縮やスループットの向上に貢献した」

タカギの山本泰昭金型部製造課課長
タカギの山本泰昭金型部製造課課長
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 北九州市のメーカー、タカギの山本泰昭金型部製造課課長はこう語る。準備を終えない限り始めないというやり方は、CCPM(クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメント)に沿ったものだ。

 CCPMの適用により、タカギは部品加工から納品までに至るリードタイムを60日から50日に短縮することに成功した。うち金型製作の期間については22日から14日に短縮している。月間にこなせる金型製作の件数は4件から5.3件になった。

タカギにおけるCCPM適用の成果(出典:タカギの資料)
タカギにおけるCCPM適用の成果(出典:タカギの資料)
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 さらに「工場やプロジェクトの状況を部門間で共有しやすくなった」「現場がより早期にタスクを終えることを意識するようになった」といった効果も出た。一連の成果を受けて、タカギは2015年12月から前工程の金型設計についてもCCPMの適用を開始している。