事業アイデアを外部からではなく、内部から掘り起こし「他ならぬ自分たちがやるべき理由」を見いだした後は、事業アイデアをカタチにする必要がある。今回は、アイデア、すなわち思いの源泉から、いかに事業化を始めていくかを考えてみよう。

 新しい事業やサービスを立ち上げていく際には、当然ながら「こうすればこのくらいユーザーがつく」「このくらい売り上げが上がる」といったことを誰かが保証できるわけではない。アプローチとしては、「どのようなユーザーの」「どんな課題を」「どのような解決状態にするのか」などについて仮説を立て、検証していく必要がある。そのうえで、「その結果どの程度の対価が得られるのか」を検討し、事業計画を作る。

 私たちは仮説検証の方法を「価値探索」と呼び、事業会社側の事業責任者、企画担当者、ギルドワークスのメンバーが一チームとなって進めるスタイルを取る。ユーザーにとっての価値とは何かについて、道なき道を行くように仮説検証を繰り返して進めていく、まさに探索的な活動といえる(図1

図1●価値探索の進め方
図1●価値探索の進め方
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 価値探索では、必ず「仮説キャンバス」という仮説の一枚絵を書くとこから始める。現在地点での各観点での仮説をまずは可視化する(図2

図2●仮説キャンバスのフォーマット
図2●仮説キャンバスのフォーマット
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 キャンバス上の11のエリアを埋めていく過程で、練り込みが足りていない観点が分かったり、仮説同士の整合性が取れていないことが明らかになったりする。コンセプトとして深掘りができていない場合は、このキャンバスを埋めるだけで一苦労だが、実際にはキャンバスを一通り完成させてからが仮説検証の始まりである。

 キャンバスに記載したことは仮説でしかない。価値探索の第2ステップでは、ユーザーインタビューで仮説を検証する。想定しているユーザーを前にして、キャンバスで想定した課題を実際持っているか、こちらが考えているソリューションでその課題解決が可能かを確認していく。

 ユーザーの声に触れると、自分たちが考えていたことが思い込みでしかないことに気付かされる。事例で紹介しよう。