IoT、機械学習、FinTech、インダストリー4.0…。昨今注目を集めているキーワードを挙げ始めるとキリがない。テクノロジーを中核に新たなビジネスモデルを作り上げた、米ウーバー・テクノロジーズや米Airbnbも急成長している。この変化のうねりの根底にあるものとしては、人々の価値観の変容があげられるだろう。働く場所を問わないリモートワーク、求められる少子高齢社会への適応、特別なものではなくなった起業。こうした社会や生活の変化に呼応するようにして、テクノロジーとビジネスモデルが躍動している感がある。

 ここで考えてみてほしいことがある。あなたの会社は、最先端のテクノロジーやビジネスモデルの出現に翻弄され、無条件にそれらを受けいれようとしてはいないだろうか。

流行に飛びついて本質を見失う

 たとえば、FinTech(金融とテクノロジー、特にITを活用した革新的な金融サービス事業)の本命とも言われている「ブロックチェーン」という技術。これを使えば、銀行やクレジットカード会社などの金融機関が処理・仲介してきた決済業務が、彼らを通さずに当事者間で行なえる可能性が指摘されている。このような変化に金融機関はどのように対応すればいいのだろうか。

 変化の本質がよくわからない経営者が、「このリスクを回避すべく早急に手立てを講じろ」と叫び、担当者はあたふたして、このテクノロジーを理解するための調査チームをとりあえず立ち上げる。こんな事態になっていないだろうか。