いまや自宅サーバーやNASを用いれば、個人でも大容量のHDDに大量のファイルを保存できる時代だ。だが、クラウドストレージの進化により、自宅でファイルを管理する必要性が徐々に薄れてきたことも事実である(写真1)。

写真1●古いノートPCを活用してミニサーバーに仕立てる
写真1●古いノートPCを活用してミニサーバーに仕立てる
(撮影:山口 健太、以下同じ)
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 今後は、写真や文書はもちろん、あらゆるファイルを無制限に保存するサービスが国内でも登場する可能性がある。

 そこで筆者はクラウドの利用を前提に自宅サーバーを廃止し、代わりにキャッシュ管理やアップロードのためのミニサーバーを導入することにした。そこで目を付けたのが、古いノートPCだ。この記事は、自宅サーバーを廃してノートPCをベースにしたミニサーバーを構築するまでの体験記である。

クラウドで不要になった自宅サーバーを小型化する

 これまで筆者はミドルタワー型の自作PCにHDDを何台も搭載し、取材で撮影した写真などを保存するファイルサーバーとして運用してきた。だが、「Googleフォト」や「Amazon Cloud Drive」といった写真を無制限に保存できるクラウドサービスの登場により、自宅サーバーの必要性は大幅に下がってしまった。

 さらにAmazon Cloud Driveは、米国であらゆるファイルを無制限に保存できるサービスを年額59.99ドルという低価格で提供している。こうしたサービスをうまく利用すれば、自宅サーバーやNASを使うよりも安く、安全にファイルを保存できる可能性が出てきたといえる。

 そこで筆者は、サーバーの小型化を考え始めた。その頃、自宅サーバーを支えていた無停電電源装置(UPS)のバッテリーが寿命を迎えたこともあり、バッテリーを搭載したノートPCを常時稼働させることにした。

 ただし、一般的なノートPCは24時間の稼働を想定していない。サーバーのように利用すると、壊れやすいことは心に留めておきたい。長期間使用しない場合は電源を切ったり、定期的に通気口を掃除したりするなどのメンテナンスは必要だ。

 前置きが長くなってしまったが、こうした経緯により中古のノートPCを探すことにした。メンテナンスが容易で、部品を交換しやすいPCとして筆者がすぐに思いついたのは、ThinkPadシリーズだ。

 今回はモバイルではなく据え置き用途なので、安価な「Lシリーズ」で十分だ。早速3万円程度の予算で中古品を探してみると、15インチの「ThinkPad L520」が多数ヒットした。リースアップなどが中古市場に放出されたものだろう。