Amazon Web Services(AWS)の仮想マシン(VM)、EC2インスタンスに割り当てられるグローバルIPアドレスは通常、EC2インスタンスを再起動するたび、別のIPアドレスに変更される。グローバルIPアドレスを固定化したい場合には、「Elastic IPアドレス(EIP)」という固定グローバルIPアドレスをEC2インスタンスにアタッチする方法がある。

 EIPでは、ユーザーが想定しなかったコストが発生して驚くことが少なくない。

 EIPはEC2インスタンスが稼働中は無料だが、EC2インスタンスを停止させると課金される。ユーザーにとっては、EC2インスタンスを停止させたらEIPも含めて課金が止まる、と勘違いしやすい。そのため実際に請求されて初めて、EIPのコストに気付く。

 EIPのコストは、1個当たり1日で0.12ドル(2017年2月20日時点、東京リージョン、税別)と単価は微々たるものだが、数が多いと無視できない金額になる。

つまずき対策

 EC2インスタンスが停止しているときEIPに課金するのは、AWSが限りあるグローバルIPアドレスを有効活用するための施策と推察される。今後、無料化されるとは想定しにくい。そのためコストを節減するには、EC2インスタンスを停止させるたびに、関連付けを解除し解放することが肝要である。

 もちろん、停止させたEC2インスタンスを再稼働させる際も同一のグローバルIPアドレスを継続して利用するには、EIPを解放せず保持しておく。この場合、EIPへの課金をコストに見込んでおく必要がある。

崔 陽一(さい・よういち)
キヤノンITソリューションズ デジタルトランスフォーメーションセンター クラウドインテグレーション事業推進室 アドバイザリーITスペシャリスト
データベースのプロフェッショナル。データベースワークロードのクラウドへの移行を推進しており、「データベース/アプリをAuroraへ移行する方法」などのテーマでAWS主催セミナーなどに登壇。AWS認定ソリューションアーキテクト-プロフェッショナル、AWS認定SysOpsアドミニストレーター-アソシエイト