Amazon Web Services(AWS)のオブジェクトストレージサービス「Amazon S3」におけるオプションの一つ、低冗長化ストレージ(RRS)は、データの耐久性が99.99%。S3スタンダードクラスの99.999999999%に比べて低い。低冗長化ストレージは、S3スタンダードクラスよりも容量単価を抑えられる廉価なサービスとして提供された。

 しかし実際にはS3低冗長化ストレージを選ぶと、スタンダードクラスより割高になってしまう(2017年2月21日現在)。2016年12月から、スタンダードクラスより低冗長化ストレージのほうが割高になるという逆転現象が続いている()。

表●S3低冗長化ストレージとS3スタンダードクラスの価格
表●S3低冗長化ストレージとS3スタンダードクラスの価格
2017年2月21日時点の東京リージョンのオンライン価格(税別)
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 逆転現象が起きたのは、2016年11月発表の価格改定においてS3スタンダードクラスだけが値下げされたからだ。今回は、低冗長化ストレージの価格改定が同時に行われなかった。

つまずき対策

 執筆時の2017年2月21日現在、S3低冗長化ストレージを選択する理由は特に見当たらない。今後の価格改定によっては、また使うべきケースも出てくるだろう。そのため、S3のオプションやストレージクラスを選択しやすいシステムの設計にしておくのが望ましい。価格改定だけでなく、今後新たなオプションやストレージクラスの登場もあり得る。

 定期的に、価格を調べてサービスを見直すことも重要である。AWSの各サービスの価格は頻繁に改定されており、性能や品質に差があるのに価格が逆転したり、ほとんど同じ価格になったりすることがまれにあるからだ。サービスの見直しは、新機能や新サービスをいち早く利用するうえでも有効である。

久保智成(くぼ・ともなり)
TIS プラットフォームサービス事業部 プラットフォームサービス第二部 主任
ソリューションアーキテクトチームのリーダーとしてAWSをはじめとしたクラウド案件を多数実施している。2012年度AWSパートナーアワード(ビッグデータ部門)受賞。